離婚時にペットの所有権を譲らない時の効果的な21の主張
離婚協議で話し合うペットの所有権や、飼育にかかる費用負担。

ペットを含む離婚協議では、お互いにペットの所有権を譲らない場合があります。

ここでは離婚時のペットの所有権の定め方について、詳しくご説明します。

この記事が、ペットトラブル解決につながれば幸いです。


離婚におけるペットの法的な扱い

離婚時のペットは法律上、動産(物)として扱われ、離婚における財産分与では、金銭による分割対象となります。

一般的な離婚協議では、共有財産を金銭的価値に置き換えます。物として扱われるペットも同様です。引き取りたい場合はペットの評価額分と同額の他の財産を譲るか、もしくは金銭で支払います。

ただし通常、成犬・成猫には評価額は付きづらいです。

血統書付で1歳未満の子犬などは別ですが、一般的な成犬には0円の評価額も珍しくありません。そのため、離婚時は無条件で所有権を譲ることが一般的です。

また、結婚前から一方がペットを飼っていた場合は、共有財産ではなく「特有財産」になります。その場合は、離婚時の財産分与の対象になりません。

特有財産

夫婦の一方が結婚する前から所有する財産、および婚姻中自己の名で得た財産。 (民法762条) 。夫婦財産制の法定財産制で規定されるもので、特有財産は夫婦の共有財産から外れる。


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所有権を主張する際の21のチェック項目

離婚協議ではお互いの感情が交錯し、「自分の方が飼主としてふさわしい」と所有権を主張するケースが多く見られます。

そのため話し合いが長期化することも多く、感情面だけなく、いずれの飼育環境が適しているかを話し合う必要があります。

まずは以下のチェックポイントを話し合いましょう。

仕事に関するチェック

  • 仕事の環境が飼育に適しているか
  • 再就職する場合、就職活動期間も飼育できるか
  • ペットを飼う経済的な余裕があるか
離婚に伴う再就職や転職活動、または自宅に定期的に帰れない仕事の場合には、ペットの飼育は難しくなります。

また離婚後は一人で生計を立てるケースが多く、ペット飼育が大きな負担になるケースもあります。まずは離婚時に今後の飼育費用を算出してみましょう。

ペットが老齢・病弱な場合には、今後の介護費用・ペット保険・葬儀の費用などの試算も必要です。

健康に関するチェック

  • 飼い主に持病・通院はあるか
  • ペットに持病・通院はあるか
  • 新しい環境がペットの健康保持に適しているか
  • ペットが高齢の場合、飼育環境の移動は可能か
離婚に伴い飼い主の住居も変化することがあります。大型犬などの場合、運動量を確保するために長時間の散歩が必要です。

また小型犬の場合は、騒音が発生する地域などでは怯えてしまい、精神的なストレスになる場合があります。

また飼い主やペットが通院している場合には、新住居が通院に適しているか確認しましょう。車などの移動手段が整っているかどうかもポイントです。

新しい家族に関するチェック

  • 再婚相手はペット飼育に好意的か
  • 実家に帰る場合、先住犬や家族との相性に問題ないか
  • 赤ちゃんなど、共存に影響のある同居人はいないか

離婚後は、再婚や帰省する場合があります。その際、再婚相手や同居家族が動物アレルギーを持っているケースや、先住犬との相性が合わないケースもあります。

大丈夫だろうと安易に考えている場合、里親を探さなければならなくなる場合もあります。

事前に確認していない場合もあるので、動物アレルギーの有無は必ず確認しましょう。

新住居に関するチェック

  • 新住居はペット飼育可能か
  • 新住居でトラブルが起きていないか

新しい住居はペット飼育可能か、飼育に適しているかをチェックします。離婚に伴う急激な環境の変化は、ペットの大きなストレスです。

また、ペットに対して過剰に反応する住民が住んでいないことも大切です。

これは非常に判断が難しい要素ですが、大きなペットトラブルになり得る場合があります。

参照:一人暮しでペットを飼うには?確認したい27のおすすめ項目

飼育の貢献度チェック

  • どちらで飼い主登録をしているか
  • 積極的に飼育に携わってきたか
  • 過去にペットを虐待をしたことはないか
  • 毎年のワクチン接種にどちらが連れて行ったか
どちらが積極的に飼育に貢献してきたか。これは大きなポイントです。

毎年の狂犬病ワクチン接種にどちらが連れて行ったか、飼い主登録はどちらが行ったか。

毎日の散歩や食事の用意など、飼い主の責任をどちらが果たしていたか。真剣にペットのことを考えていた事実を、しっかりと主張しましょう。

もし離婚協議で折り合いがつかなかった場合、裁判所に引き取り手の判定をしてもらう場合があり、その場合も「今までの貢献度」が、引き取り手を決める判断材料です。

その他のチェック

  • どのような経由でペットを取得したか
  • ペットがどちらに懐いているか
  • どちらがペットコミュニティに参加しているか
  • ペットが精神的な支えになっているか
  • ペットの面会交流権を設定するか
一方が知人からペットを譲り受けた場合もあります。

なにかの見返りとして譲り受けたケースなどでは、取得に対する貢献度が上がります。

またどちらに懐いているのか、いかにペットを心の寄り所にしてきたか、数値化できない要素であっても、ご自身の熱意を伝えることは欠かせません。

別居されている場合には、お手紙でご自身お気持ちをお伝えする方法も効果的です。

また、人の子供と同様に「ペットの面会交流権」を設定する方法もあり、設定することで「愛犬・愛猫に一切会えなくなってしまう」という相手の懸念を解消できます。

参照:離婚協議書へのペット養育費と面会交流権の具体的な記載方法

手放さないと言われたときの対処法

上記を話し合っても、所有権を譲らないケースがあります。感情的になってしまった場合などには、他の話し合い方を考えなくてはなりません。

相手が意地になっている場合

  • 他の動産を多めに譲る・全て手放す
これは相手の目標である「困らせてやりたい気持ち」を満たすことで、ペットの所有権を譲り受ける方法です。
離婚時は、「相手の望むようにさせたくない」という感情が生まれやすくなります。その感情は「相手が可愛がるペットを渡したくない」という感情になりかねません。

つまり、ペットの所有権を手に入れることよりも、相手を困らせてやりたいという目的にすり替わり、断固として譲らない姿勢になる場合があり、理論的な話し合いは通用しづらくなります。

この「他の動産を多めに譲る・全て手放す」方法は、極めて慎重な行動が必要です。

なぜならば、譲歩のタイミング次第でさらに要求される危険や、他の財産分与が減少する危険があるからです。

またお話し合いがまとまったとしても、必ず離婚協議書公正証書などにより安全性を担保しましょう。

参照:より安全な契約書作成に役立つ公正証書の役割と3つの効果

冷静に話しあえない場合

  • お互いの両親に同席してもらう
  • 共通の知人に同席してもらう
  • 客観的な意見を持つ、第三者に同席していただく
  • 家事調停で話し合う
  • 弁護士に依頼する
感情的になり、話し合いが難航している場合には、冷静な判断ができる第三者に同席してもらう方法があります。

ただ話し合いでは一方が不利にならないよう、お互いの心境を理解してくれる人に同席していただきましょう。

また、ご同席いただく方に、今までの飼育方法や自分の真剣な気持ちを事前に伝えておけば、より柔軟なお話し合いが期待できます。

加えて家事調停を利用して話し合う方法もあります。調停は裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話し合いによるお互いの合意を目的としています。

当事者同士の話し合いを基本とした非公開の場所ですので、冷静かつ迅速なお話し合いが可能です。

参照:ペットトラブルを当事者で解決する民事調停の効果と手続き

ペットの所有権を含む離婚協議における重要なポイントは、以下の3点です。

  • お互いの今後の環境を考える
  • 飼育の貢献度を具体的に振り返る
  • 相手の感情を見極める
これらと同時に、離婚協議書のペットに関する条項設定などを柔軟にご設定ください。

その条項により、ペットの安全な将来をお守りください。