「里親が譲渡条件を守らなかったら?」
「里親詐欺や飼育放棄の恐れを感じたら?」
ペットトラブルでも多い、里親と元親の譲渡トラブル。

そしてトラブルに伴う譲渡ペットの返還請求は、非常に慎重に行うべきでしょう。

ここでは里親に対するペットの返還請求について、専門行政書士が丁寧にご説明します。

※2016年11月23日更新

この記事が、皆様のペットトラブル解決のお役に立てば幸いです。


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返還を求める法的根拠を用意する

里親側に詐欺や飼育放棄、譲渡条件違反があった場合、ペットの返還請求が頭をよぎります。

そして同時に、その手順にお悩みになると思います。

感情的に「ペットを返せ!」とお伝えになられるケースも見られますが、それらの多くは感情的な衝突に終わります。

そのため、まずは具体的な請求根拠を用意し、里親から「不当請求だ!」と反論されない準備をしましょう。

譲渡条件違反を請求理由とする

では実際に、里親と定めた、譲渡契約書に記載した里親譲渡の条件を確認しましょう。

譲渡契約書を交わしていない場合は、口頭で交わした譲渡条件を思い出しましょう。

譲渡条件を設けていなければ「贈与契約(民法549条)」、飼育条件や費用負担など譲渡条件を定めている場合は「負担付贈与契約(民法553条)」を参考にします。

まず、贈与契約の場合は里親譲渡時に条件を設けていません。
そのため「飼育条件違反なので返還してください」という主張が、通りづらくなります。

この場合は、返還を求めるための法的根拠が用意しづらいと言えるでしょう。

民法549条 贈与

第549条 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

次に負担付贈与契約では、ペットを譲り受けた里親にも、譲渡条件に沿って飼育する義務が発生します。

譲渡条件に「飼育方法の指定」や「再譲渡禁止」などの条件(義務)を定めているならば、その義務違反が法的な請求根拠となります。

民法553条 負担付贈与

負担付贈与については…(中略)その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

双務契約:契約の各当事者(里親譲渡では里親と元親)が互いに対価的な債務(所有権の譲渡と譲渡条件を守ることなど)を負担する契約

この様に、譲渡の種類によって請求根拠が用意できる場合とそうでない場合があります。

さらに「契約書を交わしたか、口約束で留めたか」によって、証拠力にも差が生じます。

また口約束の場合には、里親・元親の一方から契約を解除することが可能ですが、既にペットが譲渡されている場合、一方的な契約解除はできません。

譲渡契約書などの書面を交わしている場合は、当事者の一方的な解除は認められません。

しかしこの段階ではまだ、契約が解除できるという契約上の根拠が存在するだけです。

実際に里親から返還を受ける話し合いでは、法的な言い分だけでなく、時に感情面も加味しなければなりません。

契約が解除できるという言い分は、返還を求める根拠、いわゆる話し合いの武器です。


~ ご注意! ~

民法には「自力救済の禁止」があるため、「法的に返還を請求できる」=「強制的に自分で返還させても良い」と捉えることは、原則認められていません。

そしてこの法的な正当性を問う場所は、民事訴訟などいわば裁判です。
多くのペットトラブルでは、裁判ではなく当事者間のお話し合いにて決着されています。


まずは譲渡書類を確認して(もしくは口約束の内容を思い出して)里親がどの条件に違反しているのか、紙に書き出しましょう。

そして里親が返還に応じない場合に備え、どのような切り口で譲渡違反を告げるのか、繰り返しシミュレーションされると良いでしょう。

場合によっては共通の知人の立会いや、弁護士などの専門家に依頼する選択肢も有効です。

飼い主の責任不足を請求根拠とする

では、譲渡条件を設定していない場合は何も主張できないのでしょうか。
確かに返還を求める法的な根拠があれば、一番です。

ただ中には、同じ愛犬・愛猫家としての意思を伝える方もいます。

それは飼い主としての管理責任を果たしていない、という主張です。

動物の愛護及び管理に関する法律

第7条  動物の所有者または占有者は、命あるものである動物の所有者または占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性などに応じて適正に飼養し、または保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努める (一部抜粋)

ただこれは、ペットの返還を求める法的な根拠にはなりません。

あくまでも飼い主の適性を指摘するだけであり、ペットの返還を求める道義的な主張に留まることをご理解ください。

さらにこれは里親の飼育方針への厳しい意見であり、過干渉と捉えらえる恐れもあります。

ただ、譲渡条件に「愛育すること」など曖昧な表現が記載されており、その点に違反していると主張することには、少なからず意味があります。

ただその場合の主張方法にも、最大限の配慮が求められるでしょう。


~ ご注意! ~

法的な請求根拠が弱い場合、「返還に応じられない場合は、法的処置を検討している」などの表現には、危険が伴います。

それは不当請求に当たる恐れがあり、元親側を違法と見なす余地があるからです。




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ペットの返還を求める効果的な方法

では実際に、譲渡ペットの返還を求めるには何をすれば良いでしょう。

個別の状況によって異なりますが、一般的な返還請求には以下の方法があります。

  • 電話・メールで返還を請求する
  • 内容証明郵便で返還を請求する
  • 代理人として弁護士をたてる
  • 話し合いの場として家事調停を利用する
  • 民事訴訟を申し立てる

電話・メールで返還を請求する

まず一般的には、お電話メールでペットを返還して貰いたい旨をお伝えします。

そして多くの場合、この段階で里親がお話し合いに応じないケースが見られます。

これは譲渡日からの長さや、元親と里親の相性などにも大きく左右されます。

同時に里親譲渡や飼育放棄の可能性が高い場合、最初の連絡すらつかない場合もあります。

もし話し合いに応じられない場合は、次のステップを検討することになります。

内容証明郵便で返還を請求する

次は、内容証明郵便を利用したペットの返還請求です。

その文面には「返還を請求する法的根拠」「応じない場合は法的処置を検討している」などの内容が多く選ばれます。

この内容証明郵便はお電話やメールより圧迫感が強く、より強く返還を促すことが可能です。

ただその圧迫感の強さから、利用する際には慎重な判断が求められます。

参照:ペットトラブルでの内容証明郵便の作成方法と送付マニュアル

またその請求に合わせて、里親が返還に応じ易くするための以下の譲歩も効果的です。

  • 譲渡日から現在までの飼育費用を負担する
  • 引き取り時の費用を負担する
  • 謝礼金、謝罪金の名目でお包みする

その他の請求方法

この段階で話し合いがつかない場合は、個人間では解決が難しいかもしれません。

その場合は弁護士の先生による代理交渉や、家事調停を利用した話し合いなどが効果的です。

ただし、その場合でも事前に定めた譲渡条件などを元にした協議が行われます。

無条件で返還に応じられるわけではありませんので、ご注意ください。

参照:ペットトラブルを当事者で解決する民事調停の効果と手続き



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効果的な主張テクニック

では実際に里親に返還を求める際には、どのように主張するべきでしょうか。

ここでは里親側の感情面にも配慮した、返還請求の際のポイントをご説明します。

まず話し合いの目的は「ペットを返還してもらうこと」又は「飼育改善を求めること」です。

相手を感情的に打ち負かすことではありません。

そのため里親へ返還を求める主張では、下記の点に配慮しましょう。
  • 里親のプライドを不必要に傷つけないこと
  • 過干渉だと思われないこと
  • 返還請求の根拠を明確にすること
  • 相手が応じるための理由を用意すること
  • できるだけ長期化させないこと
まず里親と元親は、それぞれペット飼育に独自の考え方をお持ちです。

そして話し合いが感情的になると、自分の考え方や飼育方法を押し付けてしまいがちです。

私ならこう飼う」「一般常識がない」などの話し合いになった場合、次第に感情的になり、話の論点がずれかねません。

そのためペットの返還・飼育改善を目的とする場合は、「このように飼育してもらう約束だった、だから返還して欲しい」「今後はこのように飼育して欲しい」といった明確な伝え方が求められます。
そして同時に、元親による過干渉だと思われないことも大切です。

これは、元親側の伝え方にも左右されます。

返還を求める根拠や理由を説明せず、「とにかく返還してください」という伝え方をした場合などは、過干渉と捉えられる恐れがあります。

厳しい飼育改善を求める場合にも、その条件や表現に注意しましょう。

参照:ペット譲受後に元親から受ける過干渉への4つの効果的な対応策

また譲渡時に「飼育方法に関しては、別途協議する」など元親が介入できる余地を設けていない場合、返還請求や飼育改善要望はあくまで「提案」に留まります。

これらは返還を請求する法的な根拠になりづらいため、その表現にも十分にご注意ください。



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里親が返還に応じた時にするべきこと

そしてお話し合いの結果、里親の方が返還に応じていただけることになったとします。

その場合は、速やかに以下の手順を踏むべきでしょう。

  • 返還の日時と方法を定める
  • 返還の条件を定める
  • 再譲渡契約書を作成し、締結する
これらは全て、より確実にペットの返還を受けるための配慮です。

里親から「また連絡します」と言われ、その後連絡が取れなくなることも少なくありません。

そのため返還日時返還方法返還条件等を定め、再譲渡契約書を締結しましょう。
この場合の譲渡契約書は、無条件返還(贈与契約)が効果的です。

また返還請求の前に、署名と印鑑を押すだけの状態まで仕上げた再譲渡契約書を準備しておくと良いでしょう。


~ ご注意! ~

再譲渡(返還)の合意を書面を残さなかった場合、「勝手に持っていかれた」などの言いがかりを受ける恐れがあります。
これは前述の「自力救済の禁止」に関する問題であり、違法行為とみなされかねません。

そういった事態にならないよう、必ず里親の返還合意を契約書内に記録しておきましょう。


また里親が遠方にいる場合、返還に関する契約書を対面で締結できない場合もあるでしょう。

その場合は、電話やメールで返還方法を話し合い、里親側で作成した再譲渡契約書を送付する方法もあります。

この契約書類の送付方法は、以下の記事をご覧いただければ幸いです。

参照:ペットトラブルの和解書・示談書の詳細な書き方(文例付き)

里親にペットの返還を求めるには、請求の根拠感情面の配慮が欠かせません。

それらは簡単ではありませんが、里親詐欺や飼育放棄を防ぐならば時に必要な請求です。

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