同居していた方からペットの返還・譲渡をうける具体的な方法
同居人と共にペットを飼育し、その後お別れになることもあります。

その際、同居人の方がペットをお連れになられる場合があります。

ここでは同居していた方からのペットの返還・譲渡について、詳しくご説明します。

この記事が、ペットトラブル解決のお役に立てれば幸いです。

ペットの所有権の確認方法

まずは共に飼育をしていたペットの所有権が、現状どちらにあるのかを確認しましょう。

所有権がこちらにあるのならば返還を請求し、所有権が相手方にあるならば譲渡を求めることになります。

ただし共に飼育していたペットの所有権は、非常に見極めが難しいのが現状です。

所有権を判断する要点は以下の通りです。

所有権がどちらにあるか明確な場合

  • 同居前から一方がペットを所有する場合

この場合は同居前から所有権を保有しているため、ペットの所有権の返還を理由とした請求が可能です。

※必ずしも所有権が確定するわけではありません。

所有権を主張しやすい場合

  • 一方の負担で購入した場合
  • 一方が友人などから個人的に譲り受けた場合
  • 飼育費用の負担やお世話をした割合が非常に大きい場合

これらは所有権を主張する根拠となると同時に、優位に話し合いを行える要素です。

確定的に所有権を主張できない部分はありますが、より効果的な請求に繋がります。

所有権がどちらにあるのか判断が難しい場合

  • 同棲中に共に購入・譲渡を受け、同じ割合で飼育を負担していた場合
所有権が明確・もしくは主張しやすい状態であれば、元同居人に対して正式に返還を請求できます。この場合は、次の「返還・譲渡の請求、話し合い方法」をご覧ください。
所有権の判断が難しい場合は、返還・譲渡のいずれを求めるかの判断が必要です。

時には所有権をめぐる協議も必要となり、自分自身がよりペット飼育に貢献してきた点などをアピールし、所有権を主張しなければなりません。

所有権を主張するためのより細かな判断材料は、以下をご参照ください。

参照:離婚時にペットの所有権を譲らない時の効果的な21の主張

返還・譲渡の請求、話し合い方法

次に同居人に対する返還・譲渡の請求方法です。

所有権がこちらにある場合は強気に請求することも可能ですが、いまだ所有権が明確でない、又は所有権が相手側にある場合には慎重なアクションが必要です。

そして同居を取りやめた以上、少なからず人間関係のもつれもあると思います。そのため、請求方法には相手の態度に応じた選択が必要です。

元同居人と話し合える場合

話し合いが行える場合、正式に返還を受ける、もしくは所有権を認めて貰うための話し合いを行います。

ただ、スムーズに返還に応じられることは少ないでしょう。それはペットに対する愛情だけではなく、元同居人である相手への感情も少なからず作用します。

率直に申し上げると「あの人には返したくない・渡したくない」という反発心による部分です。これにより素直に応じないケースが多く見られます。

これらの感情に配慮するためは、以下の方法が効果的です。

話し合いにおける配慮

  • 共通の知人や両親などを含めた話し合いを行う
  • 他の共有物の分割もあわせて話をする
  • 所有権を主張する根拠を明確にしておく
  • 返還・譲渡に対する金銭譲渡などの譲歩条件も提案する
これらの配慮は「より冷静に話し合う」「より根拠立てて請求する」「相手の反発心を抑える」意味合いがあります。

特に「相手を困らせてやりたい」と思う感情も働き、当事者2名だけの話し合いの場合は話し合いにならない場合があります。

その場合は共通の知人や両者のご両親などを間に挟み、感情的な意見に対する第三者の客観的な訂正を入れることも効果的です。

次にお話し合い後の動きに関する配慮です。

譲渡・返還の際の配慮

  • 返還・譲渡に応じた時に、すぐ約束事項を書面で残す
  • 具体的な返還方法・返還日時を設定する
  • 返還条件を定める
  • 返還・譲渡に応じられた時は、時間を空けず返還・譲渡を受ける
  • 今後一切の接触を禁止する一文を設定する
話し合いで定めた事項を確実にするための配慮です。

良くある話ですが、話し合いに立ち会っている知人やご両親の手前、話し合いでは色よい返事をしておいて、後日「そんなつもりはなかった」と言われるケースです。

また話し合いの時は応じるつもりであったが、時間が経っている間(その間相手がペットを飼育しています)にペットに対する愛情が再燃し、やはり絶対に返還・譲渡したくないと考え直すケースです。

これらを治めるためには、「話し合いの段階で返還書・譲渡書を締結する」「返還・譲渡までの日時を開けない」などの配慮が効果的です。

また最後の「今後一切の接触を禁止する一文を設定する」は場合により選択します。

これは返還・譲渡を受けた後、一切の接触を避けるための配慮です。これは返還・譲渡後に「やはり返して欲しい」というぶり返しを防ぐための項目です。

ただ少し強い印象を持ちますので、この一文を加えるかどうかには慎重な決断が求められます。

相手と話し合えない、話し合いたくない場合

この場合は、時に回りくどい方法より圧迫感の強い請求も必要です。

と言うのも、中途半端にメールや電話で話した場合に返還・譲渡に応じられる可能性が少ないケースが多く、請求の回数を重ねるごとに請求の圧迫感が薄れるためです。

この場合には以下の請求方法が効果的です。

  • 内容証明郵便で返還を請求し、法的処置を検討している旨を記載する
  • 個人間の話し合いを挟まず、いきなり民事調停に呼び立てる
  • 弁護士を立てる
これらの選択肢は少し強制的な面があり、相手側に応じざるを得ない圧迫感を持たせる側面があります。

話し合いが持てるのであれば、まずはお話し合いを持つべきでしょう。と言うのも、一度圧迫感のある請求を行った後は、個人間の話し合いは非常に成立しづらくなります。

ただ代理人として交渉していただける弁護士の先生であれば、より柔軟で効果的な話し合いを進めることができるでしょう。

これらは効果的な請求方法ではありますが、慎重に選択するべき方法です。

ご自身で返還を請求するなど、状況によって効果的な対応は異なるでしょう。

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