愛犬・愛猫の譲渡後に起きやすい、里親トラブル。
そのトラブルの多くは、話し合い不足や詳細な取り決め不足が原因です。
では私たちはより安全な里親譲渡に向け、事前に何を確認するべきでしょうか。
ここでは犬・猫の里親譲渡の確認事項について、専門行政書士が詳しくご説明します。
この記事が、安全な里親譲渡につながれば幸いです。
里親譲渡トラブルの種類
譲渡理由と同じようにトラブルにも理由があり、里親譲渡トラブルには、大きく分けて以下の原因が存在します。
その例を挙げれば、「譲渡後にペットへの愛情が再燃し、返して欲しくなった」「里親の飼育方法が納得いかない」など、元親様の感情に起因する部分が多く見られます。
もちろん「経済的な余裕がなくなった」などの里親様側の問題もあり、これらは譲渡時には見えなかった原因によるものが多く見られます。
そして各トラブルの解決には、多くの時間と労力が必要になるでしょう。
ただし、それらのトラブルの多くはペットの譲渡契約書を交わすことで回避できます。そのためまずは、適切な譲渡契約書を交わすことをお勧めします。
それが「里親譲渡自体の安全性」です。これは里親譲渡時の譲渡条件だけでなく、譲渡自体が、経済的・環境的に可能であるかどうかを見極める、重要な要素です。
では実際に、里親譲渡自体の安全性はどんな点から判断するべきでしょうか。ここからはその確認方法を、詳しくご説明致します。
里親譲渡の安全性を確認するには
少し細かな内容ですが、是非ご覧ください。
そしてこれらの多くは事前に確認しやすいため、譲渡時のお話し合いの時にご確認ください。
では、それぞれの項目を細かく確認してみましょう。
1. 譲渡は安全か
まずは里親譲渡自体の安全性を確認しましょう。これは主に里親と元親の人間関係や、里親譲渡をスムーズにする要素を含みます。
必ずしも里親と元親が顔なじみであるとは限りませんので、ペット飼育に関する考え方から伺うと良いでしょう。その場合には、以下の質問が効果的です。
元親に対する確認事項
- どんな経由でペットを飼い始めたのか
- なぜペットを譲渡するのか
- 本当に所有権を持っているのか
里親に対する確認事項
- どんな理由でペットを飼い始めるのか
- 飼育環境は、一般的な水準を満たしているか
その中でも、里親・元親それぞれの譲渡・譲り受け理由をご確認下さい。
「旦那とケンカをしたから、旦那に懐いているペットをそばに置いておきたくなかった」など、感情的な理由もあります。ペットの譲渡理由はさまざまですが、納得のできる理由を伺いましょう。
しかし元親に詳しく伺うと、「先週この子を拾ったので、新しい飼い主を見つけてあげたいと思った。」と仰られる場合もあります。その場合、そのペットの所有権をまだ取得していない可能性も高いでしょう。
また里親・元親詐欺を予防するために、以下の項目もチェックしましょう。
- 里親・元親の身分証明書
- 住所・緊急連絡先
- 携帯電話にその場でつながるか
2.譲渡は可能か
次に、譲渡が物理的に可能かどうかを見極めましょう。
将来的なトラブルを回避するためには、下記の内容を確認すると良いでしょう。
- いつペットを譲渡するか(所有権移転日の指定)
その所有権移転日をスタート地点として、受け渡しができるか、飼育環境を整えられるか、経済的な負担が可能になるのか、という点をはっきりとさせておきます。
譲渡日(所有権の移転日)を定める事で、トラブル発生時にはどちらが責任を果たすべきか明確になります。「あげたつもりはない」など話の蒸し返しも防げるでしょう。
また、本譲渡の前にお試し期間を設けることも効果的です。これは里親が本当にペットを飼育できるか判断するための、重要な時間です。
と言うのも、実際にペットを飼育してみると以下が明確になります。
- 先住犬・先住猫との相性に問題はないか
- 里親にアレルギー症状は出なかったか
- 経済的に今後も飼い続けられそうか
仮の里親期間を設定することで、これらの問題点を事前に確認できます。仮里親期間の設定では、トライアル期間(お試し期間)の設定と、その間の所有権・ペットに対する責任の所在を明確にしておきましょう。
同時に写真での状況報告・定期連絡や訪問の方法など、人間関係を考慮した柔軟な条件を設定しましょう。
では最後に、所有権の移転と譲渡条件を証拠に残すため、以下を確認しましょう。
3.証拠は残せるか
里親譲渡書に記載される「譲渡日」「譲渡条件」「ペットの名前」「現所有権者(里親)」これらは、トラブルを回避するための大切な記録です。
そのため、譲渡時に譲渡契約書を締結していただけるか、事前に確認しておきましょう。
また同時に、譲渡契約書には以下の役割もあります。
これらの点を相手の方にご説明することで、譲渡契約書の意味合いをご理解いただけるのではないでしょうか。
- 飼い主の自覚を芽生えさせるため
- 責任の所在を明確にするため
- 所有者を明確にするため
譲渡書類はご自作されるか、お近くの法律事務所で二通ご作成いただき、署名・押印をした上で各自がご保管ください。当事務所でも作成を承っておりますので、お気軽にご連絡下さい。
安全な里親譲渡には本人確認・譲渡条件の設定・証拠保全、この3点が重要です。
譲渡書類の書き方などでご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡下さい。
専門の行政書士が、丁寧にご説明致します。