親しい方へのペット譲渡時に提案しやすい譲渡書類の書き方
愛犬や愛猫に子供が生まれた時など、信頼できる方にペットを譲渡する場合があります。

そして親しい方への譲渡時には、契約書を作成しないことも少なくありません。

ここでは親しい方へのペット譲渡における書類作成について、詳しくご説明します。

この記事が、ペットの安全な譲渡につながれば幸いです。


譲渡契約書で重視すべき役割と抜粋方法

譲渡契約書には多くの役割がありますが、特に以下の目的が重要です。

  • 所有権の移転・移転日を明確にする
  • 飼育放棄を行った場合、ペットの返還請求を可能にする
  • 譲渡に承諾した証拠を残す
ペットは法律上は物ですが、一般的な所有物の譲渡と異なり、譲渡時には詳細な譲渡条件を設けます。
しかしそれらの細かな譲渡条件が、かえって譲渡書類の作成を遠ざけている側面があります。

特に親しい間柄であれば、なおさら「契約書類を締結しましょう」とはご提案しづらいでしょう。

ただ、簡易的な譲渡書類であっても、一定の法的効果を持たせられます。

細かな条件を定めるのではなく、上記の重要事項のみを目的とした場合、以下の記載を行います。(※譲渡者・受贈者の署名・押印など、契約書に関する基本事項は除きます)

  • 譲渡日、引き渡し日
  • 飼育放棄時にはペットを返還する旨
  • 譲渡に合意した旨
特に譲渡に合意した旨は重要です。

後日、譲渡者と受贈者の間柄が悪くなった時に、稀に「勝手に持っていった」などの言いがかりに発展することがあります。

人の感情は変わりやすいものですから、飼い主登録の変更を行うと同時に、譲渡書類内に所有権移転を明記しましょう。

また無条件で譲渡する場合、虐待などの事実が判明したときに、ペットの返還を請求できなくなります。

返還に対する話し合いの余地を残すため『返還に関しては、別途協議の上定める』などの表現を追記した方が宜しいでしょう。

ただやはり、詳細な譲渡条件を定め、違反時には返還請求が行える状態が最も安全です。

そのため、契約書自体をより締結しやすくする工夫もあります。

より締結しやすい工夫

確かに譲渡契約書を始めとする契約書には、独特の堅苦しさがあります。

そのため、契約書を提案しづらい関係の方の場合、以下を押さえると良いでしょう。

  • 「お譲り書」や「お約束書」など、柔らかいタイトルにする
  • 「~すること」の「~とする」など文末表現を「~します」「~致します」の表現に変える
  • 譲渡に伴う詳細な飼育条件を、別紙として添付する
ペットの譲渡を始めとする契約書は、表題(タイトル)ではなく、その中身を重視して契約書の性質が決定します。

柔らかなタイトル、文末表現にすることで、より締結しやすい雰囲気が出るでしょう。

また、契約書自体を締結しやすいようにシンプルにして、その他の書類を別紙添付する方法もあります。

例えば、詳細な飼育条件を設定したい場合、飼育条件を別紙で作成し、添付する方法があります。その場合、契約書には飼育条件を細かく定めず、別紙として後日作成した飼育条件書に、割印を押して添付する方法が有効です。

その場合、別紙の飼育条件書に「この譲渡条件書は、○月○日に甲乙が締結した譲渡契約書内の〇項に規定する別紙であることを、甲乙共に確認した」などを記載すると良いでしょう。

次に、契約書を差し入れる際のポイントです。

その意味合いを理解していただくため、以下をお話になると良いでしょう。

  • ペット保険や飼い主登録時の、所有権者を明確にするため
  • 譲渡日(迎え入れ日)を記念日として記憶するため
  • 譲渡人、譲受人の連帯感を高めるため
まず前提として、飼い主によって愛犬・愛猫の捉え方はさまざまです。

譲渡を受ける里親様としては、迎え入れ日を誕生日としてお祝いできることも、非常に嬉しいことです。

それらを記載することを名目に、譲渡契約書の締結を促す方法も効果的です。

また、譲渡書を締結することにより、譲渡に対して真剣に向き合う意識が芽生えます。

譲渡契約書を通じて、里親・元親様のより良いご関係が築かれますように。