離婚協議書で定めておくべきペットに関する重要事項
離婚における離婚協議では、夫婦間の共有財産を分割します。

そして同時に、ペットの所有権と今後の飼育方法などを話し合います。

ここでは離婚協議書で定めるべきペットの重要事項について、詳しくご説明します。

この記事が、皆様のお役に立てれば幸いです。


離婚時のペットに関する話し合いの焦点

人の子供に養育費が必要であるように、ペット飼育にも継続的な費用が必要です。

しかし法律上ペットは「動産」であり、財産分与の対象となるため、離婚相手への飼育費用の請求が法的に認められるわけではありません。

そのため、離婚時にペットの養育費を請求するなど、ペットに関する取り決めは当事者間の契約として、話し合いをしなければなりません。

具体的には、以下が話し合いの焦点になります。

  • ペットの所有権をどちらが取るか
  • 飼育費用をどちらが負担するか
  • 面会権の設定
  • 引き渡し条件

これらを個々に話し合った詳細を離婚協議書に記載します。

まずは具体的にどのような内容を話し合うべきか、確認しましょう。


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定めるべき事項と注意点

ペットの所有権の取得をどちらが取得するか

通常離婚後は、一方に所有権が渡されます。

どちらが所有権を譲り受けるかは、以下を元に話し合います。

飼育に関するチェック項目

  • どちらが飼育により積極的に携わっていたか
  • どちらの名義で飼い犬の飼い主登録を行っていたか
  • ペットがどちらに懐いていたか
  • どちらがペットを心の拠り所にしているか

登録・所有権に関するチェック項目

  • 一方が結婚前から所有するペットではないか
  • 購入時・譲り受け時にどちらが貢献したか

財産分与は夫婦の共同財産が対象となり、結婚前から一方がペットを所有する場合、その方に所有権があります。

ただその前提で所有権を譲渡する場合もあり、より柔軟な話し合いにより定めます。

離婚後の生活スタイルに関するチェック項目

  • ペット飼育できる経済状況か
  • ペット飼育できる生活スタイルか
  • ペット飼育できる環境か
  • 同居を予定している人にアレルギーはないか
これらの話し合いでは、法的に所有権を定めるわけではありません。

あくまで「より自分が所有権を譲り受けるのにふさわしい」とアピールするための要素です。

これらを元に話し合い、いずれが所有権を取得するべきかの話し合いを行うのです。

特に飼育環境経済状況は物理的に飼育が可能かどうかを判断する、大切な要素です。

仕事からの帰りが遅い場合や、他にペットの世話をする人がいない場合、その点も指摘するポイントと成り得ます。

参照:離婚時にペットの所有権を譲らないときの効果的な主張法

ペットの飼育費用の負担

次にペットの飼育費用負担を取り決めます。

飼育費用は、一般的に所有権を譲り受ける側が負担しますが、双方の経済状況に応じて飼育費用を負担する取り決めもみられます

特に長く飼育していたペットの場合、飼育費用を支払っても良いと考える気持ちも生まれやすいでしょう。

離婚におけるペットの飼育費用の負担には、様々なパターンがあります。

  • ペットの終生、毎月定額の飼育費用を振り込む
  • 離婚時に飼育費を一括で負担する
  • 飼育費用の代わりとして別の動産を分与する
  • 再就職先から初月給料支払いを受けるまで、飼育費用を負担する

財産分与では共有財産を一定の割合で分与し、お互いが求める財産がある場合は、金銭の支払いや別の財産を分与する事で補償し、その財産を譲り受けます。

その性質から、ペットを含む財産分与では一時的な金銭の支払い代替物による補償で終わる場合が多く、今後の飼育費用を定める場合には、上記のような取り決めが効果的です。

ペットの面会権の設定

人の子供と同様、我が子同然のペットに会いたい気持ちは当然です。

その場合には、年に数回、具体的な日程などを定めたペットの面会権を設定します。

特に飼育費用を負担してもらう場合、費用負担の不満を軽減する効果も期待できます。

ペットの養育費面会権の詳細に関しては、以下の記事で詳しくご紹介しています。

参照:離婚協議書へのペット養育費と面会交流権の具体的な記載方法

ペットの引き渡し条件の設定

次に、飼育費の未払いや協議事項を守らなかった場合など条件の元、ペットの所有権を相手に引き渡す取り決めを定めます。

一般的な引き渡しの条件としては、以下の例があります。

  • 再婚相手にアレルギーがあった場合
  • 許可なく里親に譲渡した場合
  • 一方に経済的な余裕が生まれた場合(その期間だけお預かりしていた場合)
これら引き渡し条件は生活環境に影響されるため、上記以外にも様々な条件を設定します。

非常に大切な条項であり、これを元にペットの返還を求められるケースも少なくありません。

この様にペットを含む離婚では、雛形的な離婚協議書ではなく、より細かな配慮が必要です。

離婚協議書で何を設定するべきか。」そうお悩みでしたら、お気軽にご連絡下さい。