血統書が送られてこない場合の効果的な請求方法と文面の配慮
愛犬を迎え入れる方法に、ブリーダー・ペットショップからの購入があります。

そして購入時の取り決めである血統書が送付されない場合があります。

ここでは愛犬の血統書が送られてこないケースと対処法について、詳しくご説明します。

この記事が、ペットトラブル解決のお役に立てれば幸いです。

血統書の役割と販売店・ブリーダー側の責任

一般的に血統書には「由緒ある」「証明された」この様なイメージがあります。

血統書とは、血統登録された同一犬種の父母により生まれた子犬に発行される証明書であり、人間で言うところの戸籍や家系図に当たります。

この血統書によろ、その犬と両親・祖先の全てが同一の純粋犬種であることが証明されます。

そして日本では、以下の発行元が主流です。

  • ジャパン・ケンネル・クラブ(JKC)
  • 日本警察犬協会(PD)
  • 日本コリー・クラブ(JCC)
  • 日本ケンネル・クラブ(NKC)
  • 日本愛犬協議会(JCA)
  • 日本社会福祉愛犬協会(KC)
また、血統書の役割は純粋犬種の証明だけでなく、ドッグショー、訓練競技会、アジリティー(犬の障害物競争)の一部では血統書付であることが参加条件となり、飼い主にとって血統書の重要性はそれぞれです。

また、産まれた子犬の血統書登録にも親犬の血統書が求められます。

これらの理由からブリーダーやペットショップでは、血統書付きであることを付加価値としており、その分値段も割高です。

ペットの売買契約では、売主であるペットショップ・ブリーダーには、売買の目的物を引き渡す義務があります。

そして血統書付の売買契約では、子犬と血統書の両方が売買の目的物になり、血統書を送付しない・引き渡さない場合は債務不履行に当たります。

その場合、買い主は以下を選択できます。

  1. 一定の催告の上、売買契約に基づき引き渡しを請求する
  2. 血統書がない子犬の売値との差額分の返金を求める
  3. 血統書が送付されない場合は、子犬を返還したうえで売買契約を解除し、売買代金の返還を請求する。
1の売買契約の解除に関しては、「血統書がないことにより明らかな不利益が予想される」場合にのみ認められ、通常の飼育を目的とする場合には売買契約の解除は難しいでしょう。

その場合は2の販売代金の減額請求(血統書のない子犬の代金との差額の返金)が効果的です。

ただ、品評会やチャンピオンドックの育成等を目的としている場合、血統書が送付されないことで売買の目的が達成できない、と主張することも可能です。
また3は、血統書が送付されるまでに子犬に対して愛情が湧き、返還することは心理的に難しく、現実的には2.3の選択肢が多く選ばれます。

そして、一般的にペットショップに対してこれらを請求する場合、内容証明郵便が利用されます。

その内容証明郵便では、以下の意思を文面に記載します

  • 何を請求するのか
  • いつまでを期限として請求するのか
  • 請求が受け入れられない場合、どうする意思があるか
この様に相手に対する請求内容を記載し、さらに状況に応じた色々な文面を追記します。

より具体的な請求事実のみを記載するか、少し感情面も盛り込むのか、その記載方法は様々です。

内容証明郵便の詳細に関しては、以下をご覧ください。

参照:ペットトラブルでの内容証明郵便の作成方法と送付マニュアル
  :内容証明郵便を活用したペットトラブルの解決法


血統書の送付を請求する内容証明郵便の文例

ではここで、血統書の送付を請求する場合の簡易的な雛形をご覧ください。
通知書

○○県○○市○○番地
○○ ○○店殿

請求先の住所・氏名を明記します

○○県○○市○○番地
○○ ○○ ㊞
ご自身の住所・氏名を明記し㊞を押します。

私は、平成○○年○○月○○日に売買契約を貴殿と締結し、ヨークシャテリア(メス生後3カ月)1頭を代金○○万円にて購入致しました。

この売買契約では・・・・・・

以上

血統書を請求するための 内容証明郵便(ダウンロード版)
まず上記の簡易的な雛形に加え、実際の文面では、以下のいずれを請求するかを検討します。

ご自身の請求に応じて、以下の文面を選択し追記しましょう。

  • 血統書の送付を求める
  • 債務不履行に基づく売買契約の解除を求める
  • 売買代金の差額の返金を求める
これらの請求の書き方は様々ですが、相手が請求に応じる圧迫感は必須です。

請求内容だけでなく、具体的な期日や請求に応じない場合にはどうする意思があるのか、明確にご記載ください。

  • 本来どのような売買契約で、何が達成されていないか
  • 請求の根拠は何か
  • 何を請求するのか
  • いつまでに請求するのか
  • 請求が受け入れられない場合は、どう対処する意志があるか

効果的な請求文面の練り方

内容証明郵便の文面には、具体的で単刀直入な請求内容を明記します。

文面内には送付期限や送付方法、謝罪の要求など、別途さまざまな要望を加える事も可能です。

ただしより効果的な請求には、以下を想定することが大切です。

  1. 最初から血統書を送付しないつもりだった(故意)
  2. 子犬が純血種ではなかった(のちに判明)
  3. 販売店もブリーダーからの送付を待っている
ペットショップが、最初から血統書を送付しないつもりだった、もしくは最初から純血種ではなかった場合もあります。

それは購入者が体感的に感じるものであり、時には声に出して指摘したい部分でもあるでしょう。

ただ、内容証明の文面に感情的にその想定を記載した場合、より請求は通りづらくなります。

そのため、上記の1.2が想定される場合には相手がより請求に応じやすいよう、血統書を送付するか・差額を返金するか、請求を2種類用意した文面が効果的です。

このように相手が選びやすい選択肢を用意することで、請求に応じられやすくなります。

販売者側の心理を理解した文言により、効果的な請求文言をご検討ください。