その解決策として、ペットの面会交流権と養育費を取り決める方法があります。
ここでは離婚協議書へのペット養育費と面会交流権について、詳しくご説明します。
この記事が、安心なペットライフにつながれば幸いです。
離婚協議書に記載するべき理由
通常はペットの時価を算出し、離婚相手にその時価の半額を引き渡すことで所有権を譲り受ける方法が一般的です。
そして現段階では、法的にペットとの面会や養育費を請求できない点にも注意が必要です。
そして離婚協議書には、その他の離婚に関する協議事項も記載するため、ペットの面会交流権と養育費の詳細な取り決めも併せて記載すると良いでしょう。
法的な請求根拠のない、当事者間の契約により設定するペットの面会交流権と養育費だからこそ、離婚協議書への記載がより大切だと言えます。
ペットの面会交流権・養育費の記載方法
離婚協議において子供の養育費と面会方法や回数を設定する場合、離婚協議書には「養育費」と「面接交渉」の条項を記載します。
以下はその記載例です。
- 甲は乙に対し、長男○○の養育費として平成○年○月から満22歳になる平成○月まで1カ月金○万円ずつ、毎月末日までに乙が指定する下記口座に振り込むこととする。
第○条(子供の養育費)
- 乙は甲に対し、甲が1カ月に1回三時間程度、長男○○と面接交渉することを認める。 また上記面接とは別に長男○○が甲との面接交渉を求める場合、乙はそれを認める。
- 面接交渉の日時・場所・方法は、子である長男○○の福祉に配慮し、甲乙お互いに協議して定める。
第○条(子供の面接交渉)
その面会交渉の権利を面接交渉権といいます。
これは民法などの条文を根拠とするものではなく、判例・裁判実務上に認められる権利です。
- 面会の頻度や時間、方法
- 日程の定め方
- 子供の意思
- 誕生日など記念日のお祝いを認めるか
そしてペットに関する養育費と面会交渉も、同様の内容を取り決めると良いでしょう。
ペットにおける養育費・面会交流には、以下の取り決めが効果的です。
- 面会の場所(どちらの自宅か)
- 宿泊の可否
- 宿泊時の食事用意
- ペットの移動と返還方法
そのため、お互いの自宅への移動方法や返還方法なども定めると良いでしょう。
ただ、時に接近禁止命令などにより面会設定ができない場合もあります。
その場合は短期間で飼育環境が変化しますので、ペットのストレスにも配慮しましょう。
次にペットの養育費と面会交流権の記載例を見てみましょう。
- 甲は乙に対し、愛犬○○の飼育費として平成○年○月から○○が死亡するまで1カ月金○千円ずつ、毎月末日までに乙が指定する下記口座に振り込むこととする。
第○条(ペットの飼育費)
「ペットの飼育費」という条項名にすると、人間の子に支払う養育費と誤認を避けられるでしょう。
また一飼育費を一括で支払う場合には、総額も記載すると良いでしょう。
- (1) 乙は甲に対し、甲が1カ月に1日、愛犬○○と甲自宅にて面接交渉することを認める。
- (2) 面接交渉の日時、愛犬○○の受け渡し方法は、甲乙お互いに協議して定める。
第○条(ペットの面接交渉)
離婚当事者による契約のため、十分な話し合いによる詳細な取り決めが必要です。
相手の方に予想できる条件を設定しましょう。
飼育費用は原則として引き取り側が負担しますが、当事者間の契約により、もう一方が飼育費を負担する契約を定めることが可能です。
そしてペットの養育費を求める場合、同時に相手に対してペットとの面会交渉を認めることで飼育費の滞りを防ぐ効果も期待できます。
子供の養育費と比較しても負担額が低いことなどから、気軽に締結してしまうと離婚協議事項の違反に繋がります。
現実的に負担可能な飼育費用や、面会回数の見極めが大切です。