愛犬のお散歩を、散歩代行やペットシッターにお任せすることがあります。

その時に噛みつき事故などが発生したら、法的な責任は誰にあるのでしょうか。

ここでは飼い犬の預け時のペットトラブルの法的責任について、詳しくご説明します。

この記事が、ペットトラブル解決のお役に立てれば幸いです。


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ペットサービス中のトラブルの法的責任

ペットサービスの受託者が散歩時にペットトラブルを起こした時、まずは法的な責任を確認しましょう。

まず飼い犬を含む動物の所有者には、民法に以下の責任が規定されています。

民法718条 動物の占有者等の責任

1. 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
2. 占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。

多くの場合、飼い主は動物の占有者、飼い主のご家族などは占有補助者と見なされます。

そして一般的に準委任契約によりペットを預かる散歩代行業者やペットシッターは、第2項の「占有者に代わって動物を管理する者」と見なされ、この場合には占有者(飼い主)と同等の賠償責任を負う可能性があります。

ペットサービス業者と締結する準委任契約では、代行業者・ペットシッターには「善管注意義務」と「安全配慮義務」が求められ、危険を予測した安全なサービスの履行(飼い犬の散歩)が義務付けられます。

民法644条 受任者の注意義務

受任者は委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。

善良な管理者の注意:業務を委任された人の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務

安全配慮義務

法律関係に基づいて一定の関係にある当事者間で、その法律関係に付随する義務として当事者の一方または両方が相手方に対して信義則上負う義務

まず代行時の散歩トラブルでは、この2つの義務が果たされていたかが焦点となります。

そして次に問題となるのが、準委託契約に伴う使用者責任です。

民法715条 使用者等の責任

1. ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

この使用者責任と契約書の免責事項を元に、委託先のペットサービス代行業者は責任を回避したいと考えるでしょう。

そして責任問題の話し合いでも、その点が焦点となり得ます。


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責任の所在を話し合う時の論点

まず話し合いでは、委任時に締結した契約書に記載されている「免責事項」を確認します。

契約書内の免責事項に多いものが「不可抗力によるトラブルは一切責任を負わない」旨の記載です。

不可抗力とは、一般的に天災による被害など人の力が及ばない部分を指します。

ただ、不可抗力と捉えられる範囲は非常に曖昧で広範囲です。対して契約書内に不可抗力事由が具体的に記載されていて、その内容に該当する場合は、サービス代行業者は免責になる可能性があるでしょう。

次に「いかなる損害が発生した場合でも、サービス代行業者は責任を一切無効とする」旨の条項が記載されている場合ですが、この免責事項は消費者契約法により無効になる可能性が高いと考えられます。

消費者契約法 第8条

次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。

1. 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項

それに対して、責任の一部を免責する条項は有効な場合が多いため、必ず契約書の締結時には免責事項を確認しましょう。
またペットサービス業者によっては、損害を補償する事業者保険に加入している場合があります。保険内容にもよりますが、その保険内容から補償が支払われる場合もあります。

も裁判によってペットサービス業者の義務違反が認定された場合、サービス事業者は損害賠償責任を負いますが、裁判の前段階では、プロとしての注意義務(善管注意義務)を果たせていない点が論点になるでしょう。

善管注意義務に関する話し合いには、以下の論点があります。

ペットの逃走

  • クラクションで驚いて逃げた場合、急な飛び出しに対応可能な持ち方であったか
  • 首輪が外れた場合、散歩前に首輪の安全確認を実施したか
  • 他の犬とのケンカの場合、事前に察知して別の道を選択できなかったか

ペットのケガ・死亡事故

  • 交通事故の場合、交通量の少ない道を選択できなかったか
  • 過度に興奮していたことが原因の場合、トラブルを予見して中止しなかったか
  • 他の犬とケンカをした場合、事前の回避策を講じなかったか
いずれも善管注意義務に求められる「専門家としての能力から通常期待される注意義務」により回避できたと指摘され得る点です。

これらの確認ポイントは、免責事項と同じく責任の所在を明確にする大切な要素です。

トラブルの原因がどこにあるのか、散歩の専門家として回避できなかったのか、この点が話し合いにおける焦点となるでしょう。

そしてお話し合いに決着がついた場合、必ず証拠として和解書・示談書を作成することをお勧めします。

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