ゼロから作るペットシッター運営書類の役割と効果的な書き方
安全で集客力のある運営書類を!
シッティングサービスでお客様との契約内容を定める、ペットシッター運営の運営書類。

初めてご作成になるには、どの様な点に注意して作成すべきでしょうか?

ここではペットシッターの安全な運営書類・契約書の書き方について、専門行政書士が丁寧にご説明します。

この記事が、より安全な事業の運営につながれば幸いです!
※2023年6月16日更新

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ペットシッターの運営書類の役割

では早速、ペットシッターにおいて用意するべき運営書類には、どのような役割があるのでしょう。

まずペットシッターの運営には、一般的に以下の書類を用意します。

  • (1) サービスの詳細を明記する利用規約
  • (2) お客様の所有物をお預かりするお預かり証
  • (3) シッティング条件を記載するお客様カルテ
  • (4) 申込の最終的な合意書・契約書
  • (5) お店のサービス内容を明示した、WEBページ
まずこれらの運営書類は、お店の運営方針によってもその種類が変化します。

そして同時にコンテンツに関しても、詳細なものから簡易的な内容で留めているものまで様々です。

ただ急増するペットシッター業では、地域の顧客様・新規のお客様からの信頼感は必須です。そして信頼を得る要素はペットの安全サービスの利便性、そしてサービスの安定感です。

ペットシッター運営における重要ポイント
まず初めてのお客様は、検討しているお店に関して「ずっと預けられるか」「いつでも預けられるか」「安全に預けられるか」「サービスと値段は見合っているか」など、様々な要素を確認します。

そしてこれらを確認するために(5)のWEBページ等に記載された、利用規約を始めとした運営書類に目を通します。その中で利用料金・キャンセル条件・免責事項など、そのお店の特徴を軽く確認します。

実際には料金・対応地区・対応時間などをメインに確認し、ある程度「検討してもいいかな?」と感じた時に、初めて無料体験の有無や免責事項などを軽く確認する傾向があります。

HPなどのWEBページは、そういった意味で重要な運営書類に分類されます。

同時にWEBページに掲載された利用規約等の精度は、申し込むか否かの判断に直結します。

WEBページに掲載されていないなどのお客様が利用規約等を見れない状態は、最初のお問い合わせすら逃している可能性があります。

さらに「思っていたサービスを受けられなかった」と初回で利用をやめたお客様によって、同じ地域の見込み顧客へお店の評判は、あっという間に広がります。

地域顧客の囲い込みが求められるペットシッター業では、これは致命的です。

そのため初めて運営書類を作成する際には、以下の点にご配慮ください。

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運営書類作成のポイント

  • サービスの詳細(料金・利用時間・キャンセル)などは詳細に記載する
  • 新規・既存のお客様が確認できるように、WEBやパンフレット等にも掲載する
  • ペットの取扱い方法を、具体的に明示する
  • 免責事項を必ず記載し、お店側の責任範囲を明確にする
  • 時間をかけて作成し、適宜追記も行う
  • 第一種動物取扱業(保管)に記載された管理義務なども載せる
これらのポイントは、運営書類を作成するいわば目的です。

重要事項を列挙するだけでなく「お客様にご安心いただくこと」「お店を守ること」これらの目標をもってご作成下さい。

では早速、各書類の特徴と効果的な記載内容を見てみましょう。

各書類の特徴と安全な書き方

まずペットシッターの運営書類には、それぞれ役割と特徴があります。

そしてそれらをゼロから作成するには、各役割と特徴を理解した作成目的が必要です。

少し含みを持った表現ですが、「何に使用するのか」を考えることで、次第に見えてきます。

サービスの詳細を明記する利用規約

まずペットシッターの運営で重要な利用規約です。

これはお店のサービス(ここではシッティング)の詳細や、免責事項等の利用上の条件を記した書類です。

利用規約は前述の通り、書面作成とともにWEB上に掲載することが有効です。

その記載事項はお店によってA4用紙1枚~10枚以上と大きな差がありますが、以下の内容は最低限記載するべきでしょう。

  • サービスの利用料金
  • お客様宅までの交通費・交通手段
  • オプション料金
  • キャンセル料金
  • 時間外対応・その際の料金
  • サービスの延期・中止条件
  • 鍵の受渡・返却方法
  • 料金の支払方法・支払期日・振込先
  • 鍵の取扱、自宅使用時の安全対策
  • シッター代行時の情報の取扱
  • 期間満了後に飼い主様が帰らなかった時の対応
  • ペットの健康・衛生管理方法
  • ペットの感染症対策
  • 免責事項(どんな責任は負うのか)
  • 免責事項の不可抗力の定義(不可抗力とは何を指すか)
  • カルテ作成等、シッティングの事前用意
  • 依頼をお断りする条件
  • 契約解除の条件
  • 個人情報の取り扱い
この様に利用規約には、サービスの詳細と共に利用者が知りたい内容を記載します。

ご自作される際にはこれらの基本事項を元に、ご提供されるサービスの流れを順に確認してみると良いでしょう。

利用規約に記載する事項を探す
この様に、提供するサービスに対して予めご説明しておきたい事項をリストアップします。

すると事前打ち合わせの内容やシッティング方法など、様々な内容が浮かび上がってきます。

そしてこれらの事項を組み合わせていくことで、利用規約のベースが完成します。

具体的には、私たちは以下の流れで利用規約を作成します。

  1. 準委任契約(ペットシッターの契約形態)を前提とする
  2. 提供するサービスで起きる事故・トラブルを全て書き出す
  3. トラブルに対して、店舗が不必要に責任を負わない条件を設定する
  4. 提供するサービスで考えられる突然の変更・キャンセル事項を全て書き出す
  5. お客様から予想される質問を想像・列挙する
  6. トラブルに対して、不要に店舗が責任を負わない条件を設定する
  7. 変更・追記できるように、規約変更の可能性を明記する
  8. 責任回避だけでなく、圧迫感を感じない内容にする
ご提供されるサービスによっても異なりますが、多くの場合は上記の行程で取り組みます。

もし、サービスの内容が十分に定まっていない場合には、今ご検討されているアイデアを繋ぎ合わせます。

そしてそこに一般的なシッティング方法を組み込み、全体像を構成します。

実は、運営に関してまだ何も決定していない段階で利用規約をご検討されている方も多くいらっしゃいます。

その場合は、利用規約作成と並行して提供するサービスを決める場合も少なくありません。

運営方針の定め方が分からない時に、利用規約作成を通じて決定していくわけです。

そして利用規約は通常、運営が進むにつれて改訂を重ねます。

そのため「予告なく改訂する場合がある」旨を記載しておくと良いでしょう。

お客様の所有物をお預かりするお預かり証

次に、お客様のご自宅のカギをお預かりする際の保管証です。

これは安全を不安視しているお客様に対して、「鍵は安全にお預かりしていますよ!」と伝える役割をもっています。

法的な書式があるわけではなく、お客様の不安要素を先回りで記載します。

以下の内容を含めるのであれば、簡易的な形式でも問題ありません。

  • お預かりする物の詳細(合い鍵の場合、どこの合い鍵か)
  • お預かり・返却の日時
  • お預かり・返却の方法
  • 店舗での保管方法
  • 利用範囲
  • お預かりするシッターの署名(できれば押印まで)
お客様の所有物の紛失・盗難は、ペットシッターのトラブルになりやすい部分です。

特に、ご自宅の合い鍵など重要な物に関しては、店舗での保管方法なども明記しましょう。

紛失予防のために、鍵にbluetoothを連携させる方法も好まれます。

また同時に利用規約にも、鍵の保管方法とお預かり証の配布についてご記載下さい。

個別のシッティング方法を定めるお客様カルテ

次に、事前打ち合わせで作成するお客様カルテを見てみましょう。

これは個別のわんちゃん・ねこちゃんのシッティング方法を定める書類です。

このカルテ作成は、サービスの安全性と魅力を直接お客様に伝えられる大切な時間です。

お客様への第一印象にも繋がりますので、以下の内容をぜひご記載ください。

  • お客様情報
  • 契約期間
  • 申し込み内容
  • 愛犬・愛猫の性格・持病・特徴
  • ご自宅の備品・電気機器の使用可否・使用方法
  • 合い鍵の受取・返還方法
  • 散歩の方法・経路
  • 玩具の取扱・遊戯方法
  • 食事・おやつ・給水方法
  • 利用規約への合意
まずお客様カルテは、お客様宅の設備やペットの状態によって記載内容が変化します。

また提供するサービスによっても、事前確認事項は異なります。

そのため私たちは、以下の点に注意してお客様カルテを作成します。
  • (1) 緊急対応方法を重視した形式にする
  • (2) 契約書にも記載する内容(契約期間・申し込み内容など)を記載する
  • (3) 散歩・排泄物などの指定内容を細かく明記できる形式にする
  • (4) 個別の要望事項を記載するスペースを広く用意する
特にお客様とのトラブル時には、(3)によってお客様の指示に沿った証明が必要です。

これはシッティング時の責任の所在を明確にする、大切な要点です。

また合意書・契約書にも「カルテの内容に合意する旨」を記載することで、より安全な契約につながります。

最終的には「利用規約」「お客様カルテ」「契約書」の3点全てに合意していただいた状態を作りましょう。

最終的な申込契約書

最後は、お客様との契約条件を明確にする申込契約書です。

これは、利用規約と同じくじっくり検討して作成するべき書類です。

この段階はお申込みも終盤だと思いますので、契約書には最終的な確認事項を盛り込みます。

この申込契約書では、特に以下の項目を重視しましょう。

  • 利用規約とカルテの承諾
  • 損害賠償
  • 免責事項
  • 不可抗力の定義
  • 返金条件
  • 契約解除事由
  • 契約内容の最終確認
  • 契約解除事由
まずこれらの条項は、お店を守るために欠かせない必須項目です。

そして同時に、お客様に申し込み内容をご確認いただく二重チェックの要素も持ち得ます。

この申込み契約書では、私たちは以下の点に配慮して作成します。

  1. 準委任契約(ペットシッターの契約形態)を前提とする
  2. 利用規約とカルテの合意を基礎とする
  3. 免責事項を徹底して明確にする
  4. 事業者保険の適用条件を明確にする
  5. 各種保険の規約に準ずる旨を明記する
  6. 契約解除条件を明確にする
お店によっては、シッティングの詳細内容を細かく記載している契約書を見かけます。

確かにお申込みの段階で、再度全ての事項にお目通しいただくことは効果的でしょう。

しかしながら、あまりに長くなるとお客様に嫌がられるケースもあります。

そのため実際の申込契約書では、利用規約への合意を促す形式にすると良いでしょう。

申込契約書で特に重視すべきは契約条件免責事項解除条件、最終的な合意です。

これらの要素を満たした申込契約書は、お客様からの信頼に繋がります。

運営においては、これらの書類の役割が混在されないようにご配慮ください。