ただし、飼い主が誠実に話し合いに応じるとは限りません。
ここでは飼い主に治療費を請求する内容証明郵便について、詳しくご説明します。
この記事が、トラブル解決のお役に立てば幸いです。
内容証明郵便の効果的な書き方
自分の感情を押し出すだけでなく、読み終わった時にどうして欲しいのかを相手の頭に残す文面を作成しましょう。
内容証明郵便の特徴や送付方法は、下記をご参照ください。
では、実際の記載内容を確認してみましょう。
内容証明の文面には下記を明記します。まずは事故の詳細です。
咬傷事故の詳細
- いつどこで
- 誰が誰に(どの犬に)
- 何をされ(どこをかまれ)
- そしてどうなったのか(どういった被害を受けたのか)
理想は、読み手に客観的にかみつき事故を振り返ってもらうこと。
不誠実な対応に不満を抱いている感情などを書くとしたら、内容証明郵便の後半に簡潔に書くと良いでしょう。
ただし、読み終わったのちに感情面のみが頭に残ることのないよう、文面全体のバランスが大切です。
次に治療費や慰謝料など、請求に関する記載です。
請求の具体的な内訳
- ケガの治療費
- 通院交通費
- 入院慰謝料
- 通院慰謝料
- 後遺症慰謝料
- 休業補償
過剰請求でないことを印象づけるためにも、請求の内訳は具体的に明記しましょう。相手の要望に応じて、個々の請求書を開示する旨も効果的です。
これらを反映させた簡易的な文例は、以下の通りです。
平成○年○月○日
○○県○○市○○番地
○○ ○○殿
請求先の住所・氏名を明記します
○○県○○市○○番地
○○ ○○ ㊞
ご自身の住所・氏名を明記し㊞を押します。
私○○は平成○年○月○日、○県○市○町○丁目○番地 ○○において、貴殿が飼育している犬(ペットの名前が分かれば明記)に○○に噛みつかれ、平成○年○月○日から同年○月○日までの計○日間、同市内○○病院への入院を要する障害を負わされ、退院後も○日間通院致しました。
上記事故は、貴殿の○○○○によるものであり、つきましては飼い主である貴殿に以下の損害の賠償を請求します。本書面到着後○○日以内に損害合計金○○○円を、下記口座にお振込いただきたく存じます。
上記期間内にお支払いいただけない場合、○○を検討している旨を申し添えます。
事案の詳細を時系列に明記します。
相手の飼い主が複数の犬を飼っている場合、どの犬かを明記し、誤認を避けられます(分かる場合のみ)
また、損害金の支払期限を定めるかは、適宜判断してください。不用意に期限的な圧迫を与えない配慮も効果的です
(1) 治療費 金○○○円
(2) 通院交通費 金○○○円
(3) 慰謝料 金○○○円
合計金 金○○○円
なお上記費用の内訳は、ご請求に応じて○○に送付致します。
○○銀行 ○○支店
普通口座 ○○
口座名義人 ○○
実際に発生した損害金のうち、請求したい内訳を明記します。
内訳が細かくなるようなら、別紙を作成し請求に応じて開示する旨を明記しましょう。
また病院の診断書を求められる場合もあります。
その場合に備え、必要に応じて開示する一文を加えると良いでしょう。
以上
参照:内容証明郵便で使用する印鑑と契印・訂正印・袋とじの方法(画像付)
:複数の差出人による内容証明郵便での連名の書き方と押印方法(画像付)
請求が受け入れられる文章の書き方
内容証明郵便で請求が受け入れられるには、以下の2点が必要です。
- 経済的・物理的に応じられること
- 感情的に応じられること
そのため内容証明郵便の表現や文面は、時間をかけて練り上げましょう。
当事務所では、内容証明郵便の文面を以下の方法で作成します。
- 当時の相手の発言を紙に書き出す
- 誠実な対応をとってくれなかった理由を考える
- 相手の不満を解消する・論破する・無視するかを選択する
- 文章を書き、時間を空けて読み返す
- 声に出して読み、他の人にも読んでもらう
- 出来る限り不要な文章を削り、日本語の校正を行う
「大切な愛犬が噛みつくわけがない」という気持ちかもしれませんし、性格的に相手の言い分を受け入れない方かもしれません。
こちらの態度も悪かったと感じる場合には、簡易的にでも謝罪の一文を添えた上で要望を伝えることも大切です。逆にこちらに落ち度がないと確信するのであれば、相手の態度を指摘したり、時には一切触れない方向で書きます。
冗長表現(無駄に長い文章や表現)や助詞の不足(時にそのまま使用します)をチェックし、伝えたい意思のみが受け取られる文面をご考案ください。
最も難しいのは、そのバランス感覚だと考えます。