愛犬・愛猫がペットサロンでケガをしたら?
カットのやり直しや治療費を請求するには?
ペットトラブルでもお悩みの多い、ペットサロンにおけるとのトラブル。

特にトリミング・カット中に発生したケガには、お店によって対応が大きく異なります。

ここではペットのケガに対するトリミング店への治療費請求について、専門の行政書士が丁寧にご説明します。

※2017年8月4日更新

この記事が、より良いペットライフのお役に立てば幸いです。


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トリミング中のトラブル事例

まずトリミング中には、ペットのケガだけではなく様々なトラブルが考えられます。

そしてケガの治療費請求では、そのトラブルがトリマーの管理不足に基づくものであるかどうかがポイントとなります。

またトラブルの種類によっても請求できる金額や対応が異なり、同時にお店側がご用意されている各種の利用条件を記載した「利用規約」にも目を通す必要があります。

ここではその全体像を確認する前に、まずはトリミングでと一般的に発生するトラブルの種類を見てみましょう。

まずトリミング中の事故には、以下のケースが多く見られます。

店内でのケガ

まず最初は、トリミングサロンの店内で発生したケガの事例です。

これらはトリマーの管理不足による部分が大きいと考えられますが、訴訟に発展した際の見解は個々の事案により異なります。

本来の管理方法をご指摘される要素としては効果的ですが、あくまでも治療費請求の一つの要素としてお考え下さい。

目を離したことによるケガ

まずトリミングサロンでは多数のペットを預かるため、個々のペット管理が難しくなります。そのため少し目を離した間にトリミング台から落ちてしまい、ケガをするケースが多くみられます。

ケガの種類には、脱臼・骨折・打撲・裂傷などが挙げられ、トイプードルなど小型犬の場合は、トリミング台からの落下が致命傷となり、命を落とす場合もあります。

この事故にはトリマーの管理責任が言及され、利用規約(お店側の損害賠償金の支払い上限額を定めた個別のルール)に基づき治療費を請求することになるでしょう。

中にはトリマーがスマートフォンに目を奪われている時に、ペットが落下してしまったケースもあります。これらのペットのケガの原因も、治療費請求に大きく影響します。

時には利用規約に基づいた支払い上限を超え、治療費をお支払いいただけるケースも散見されます。ただそれはあくまでも個人間の契約(和解交渉)に基づく譲歩であり、必ず全額お支払いいただけるとは限りません。

ペットをおとなしくする際のケガ

またペットの性格によっては、トリミング中に大きく暴れます。

そのためサロンによっては「おとなしくさせる押さえこみ」「あごの下の毛を引っ張る」などの処置を行う場合もあります。その方法は様々であり、 個々のトリミング技術に大きく左右されます。

そしてこの処置で力加減を誤った場合、骨折死亡事故につながります。また小さなケガの場合には、ケガそのものに気づかない場合も少なくありません。

そのため後日、散歩やブラッシング中にケガがあることに気付くケースもあり、その段階で動物病院様でご診断をされてもケガの原因が証明しづらくなります。

結果として立証が難しくなり、サロン側もそのことを理由に、治療費の請求を飲めない場合も見られます。最終的には当事者間のお話し合いで治療費のすり合わせが行われ、全額の支払いが難しくなるケースが散見されています。

トリミングによるケガ

そして次は、トリミング自体による怪我です。

多くの場合、トリミングにはハサミやドライヤーを使用します。生物を相手にするわけですから、経験豊富なトリマーでも、稀にケガをさせてしまうことがあります。

ハサミで耳を傷つけてしまったりドライヤーで火傷を負わせてしまう場合もあり、ペットが高齢で感覚が鈍っている場合には、自宅で初めて気付くケースもあります。

その場合に後日怪我の発見・報告をしても、トリミング店が認めないケースも散見されます。トリミングから帰ってきた時には、ペットの身体を全体的にご確認される方が良いかもしれません。(トリミング店様を疑うようですが…。)

他のペットとのトラブル

また、ケガの原因はトリミングだけではありません。トリミング店には、同じ空間で施術を待っている他の動物が存在します。

そのトリミング中に興奮した他の犬に噛まれることもあり、その場合はトリミングサロン側の管理不足が問題になります。

この際、相手のペットもサロンの管理下にあったと考えられ、犬の飼い主に対する治療費請求等は難しいと考えられます。同時にペットサロンがどのような管理を行っていたのかを確認し、過失部分のお話し合いを行うことになるでしょう。

その他のトラブル

またペットサロンでのトラブルは、ケガだけではありません。

ペット自体の行動や、サロン側の衛生管理・運営管理不足に起因するものもあります。

おびえたペットによる突発的な逃走

まずペットにとっては、初めての場所(サロン)は興味と恐怖が混在する場所です。

その環境で自分より大きな動物の鳴き声や初めてのトリマー様に怯えてしまい、トリミング中に逸走・逃走してしまうこともあります。

そしてそのまま行方不明になったり、路上に飛び出して車に撥ねられてしまうケースも見られます。

その場合はトリミングサロン側の管理不足を理由とした、ペットの生体価格及び慰謝料請求が行われます。

ただしペットの交通事故においては、運転手とのお話し合いも必要になります。多くの場合には加入されている自賠責保険の適用が焦点となりますので、どの様な対応が可能なのかを、相手方の保険会社様に確認する必要があるでしょう。

他動物からの感染症

またペットサロンには、不特定多数のペットが出入りします。

そして衛生管理が行き届いていないサロンでは感染症の恐れもあり、トリミング後のウイルス感染も問題になります。

ただし多くのトリミングサロンでは、利用時にワクチン接種証明書の提出を求められるため、実際には稀なケースです。

実際に問題となるのは、トリミング申込時にサロン側がワクチン接種証明書の提出を求めない場合です。これはお申し込みのしやすさに対する配慮かも知れませんが、やはり衛生上好ましいとは言えないでしょう。


~ ご注意! ~

ペットサロン内で感染症に罹ったことを証明するには、感染時の状況も確認しなければなりません。

実際には、トリミング中に他のペットからウイルス感染したという証明は、大変難しく専門家である獣医師の方も診断書に具体的な感染理由を明記できないケースが見られます。

そのため実際には、申込時にワクチン接種証明書を求める店舗が、より安全だと考えられます。


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ペットのケガに対する法的責任

ではここで本題の「ペットサロンに対する治療費請求」に入りましょう。

ペットがトリミング中にケガ・死亡した場合、利用者はサロンに対して何を請求できるでしょう。

まずペットの毛を切り整えるトリミングは、仕事の完成(トリミング)を目的とした請負契約(民法632条に該当します。これによりトリミング中に発生したトラブルには、以下の法的責任が求められます。

やり直しの請求

まずペットサロンと契約する請負契約では、目的物に瑕疵(トリミングが不十分、ケガをしたなど)があった場合、注文者(飼い主)は請負人(ペットサロン)に対し、相当の期限を定めて瑕疵の修補を請求できます。(民法634条1項)

つまりこれは、ペットサロンに指定したトリミングが行われなかった場合、やり直しを請求できるということです。ただ実際に愛犬・愛猫がケガをした場合、やり直しの問題ではなくなるケースが見られます。

ただし「もっと可愛くなるはずだった!」などの主観的な要素には、瑕疵は認められません。

トリミングが不十分だったと主張するには、具体的な注文(トリミングの内容を指定)をしている必要があります。

そのため「こういうトリミングをして欲しい」と写真などで具体的な指示を行い、仕上がりが明らかに異なっている場合などでは、ペットサロンに対する瑕疵修補請求が認められると考えられます。

またトリミングの瑕疵(不十分・ケガなど)の程度が重要ではなく、やり直しに過分の費用がかかる時は修補請求(再度のトリミング)ができるとは限らないとされます。
(民法634条:請負人の担保責任)


~ ポイント! ~

実際に「思った通りにカットされなかった!」といったトラブルでは、多くのサロンがやり直しを受け入れています。

これはトラブルではなくサービスレベルの問題であり、優良なペットサロン店の見極め材料として有効です。


ケガの治療費請求

そして本題は、ケガの治療費請求です。

この治療費請求では、利用者とサロンの両者の言い分が交錯します。

まず前述のように、民法ではトリミングに瑕疵があった場合、注文者は瑕疵の修補に代えて、またはその修補とともに、損害賠償請求が可能とされています。(民法634条2項)

そしてトリミング中にペットがケガをした場合、この条文を元に損害賠償請求を行います。

またトリミングに瑕疵があり、そのために契約の目的を達することができないときは、契約の解除も可能とされています。
(民法635条)

例えば極端な話ですが、長さ10センチcmを指定したにも関わらず3cmにカットされた場合などです。

それによりペットコンテストに出られなくなった場合など、トリミング本来の目的が達成できないとして契約の解除、つまり返金を求められる余地があります。

つまり総括すると、トリミング内容に応じて利用者には下記の選択肢があります。

  • 指定通りのトリミングが行われなかった
  • 民法634条1項を理由として、再度のトリミングを請求できる。
    修復できない場合、トリミングの目的が達成できない場合には、民法635条を理由として契約解除を求められる
  • トリミング中にペットがケガ、又は死亡した
  • 民法634条2項を理由として損害賠償が請求できる
    同時に再度のトリミングの請求もできるが、大抵の場合はトリミングサロンからやり直しを提案される

治療費に関する請求上限

では実際に、サロンに対して請求する治療費の目安はいくらでしょうか。

損害賠償請求には、ケガの程度やサロン側の過失割合など、多くの要素が含まれます。

また、飼い主がペットの持病を報告しなかったことによるケガや死亡事故もあり、その場合は飼い主側の過失も認められます。

事案にもよりますが、サロンへの請求は以下の金額が多く見られます。

  • トリミング中の死亡事故の場合
  • (ペットの時価+慰謝料)×「ペットサロン側の過失割合

  • トリミング中のペットのケガ、感染症の場合
  • (ケガの治療費実費+慰謝料)×「ペットサロン側の過失割合

そして問題は、事案に関する具体的な過失割合が分かりづらい点です。

お互いの過失割合を率先して認めるケースも少なく、また数値化も難しいでしょう。

そのため、相手に全て過失がある前提で治療費を請求するケースも多くみられます。

そして和解締結時にお互いの負担額が決定され、各自の負担額が決定します。

尚、ペットは法律上物のため、時価を超えた治療費の請求が難しいのが現状です。

ただし和解においては、飼い主の感情面等が考慮され、時価を越えた治療費の支払いが行われるケースもあります。

また多くのペットサロンでは、その店が設定する利用規約に定めた免責事項により、支払い治療費の上限額を定めています。

そして治療費請求に対するペットサロンの回答も、その免責事項に記載された支払い上限額に準じたものになるでしょう。


~ 利用規約の免責事項とは ~
利用規約とは、サロンが独自に定めるサービス提供方法や、責任所在を明確にした免責事項等を記載した運営規約です。

多くのペットサロンでは トラブルにおいてサロン側が負担する治療費等の上限額等を、その免責事項に記載しています。

そして同時に、トリミングの申し込み時はこの利用規約への同意が求められます。

そのため免責事項に設定された上限額を超過する治療費請求に対しては、上限額があることを理由に支払いを拒否するでしょう。


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効果的な治療費の請求方法

では実際に、どのように治療費を請求すれば良いでしょうか。
まずサロンの多くは、非営利一般社団法人「日本ペットサロン協会」などの団体が提供する「施術中のトラブルに対する補償」により、トラブル時の補償態勢を整えています。

そして多くの治療費請求は、その保障内容から補われます。

ただし実際には、治療費を請求しても「一切乱暴に扱っていない」「トリミング前からケガをしていた」など、サロン側が責任を認めないケースが多く見られます。

もちろんそれが事実である場合もあり、治療費請求には治療費を請求する根拠を提示しなければなりません。

そして治療費請求には、一般的に以下の方法があります。

  • 電話・来店による直接請求
  • メール・手紙による請求
  • 内容証明郵便による請求
  • 弁護士などの代理人による請求
どの方法を選択するべきかは、サロン側の態度や費用などの問題によります。

ここでは内容証明郵便を利用した、一般的な治療費の請求方法を確認してみましょう。

ケガの治療費を正当に請求するには「請求の根拠があること」と「物理的に応じられること」「応じる必要があると受け取られること」この3点が大切です。

まず内容証明郵便の文面には、前半に「ケガに関する事項」を記載します。

  • トリミングの日とトラブルの内容
  • ケガをするまでの過程
  • ケガの程度と治療期間
  • ケガの治療費と、病院までの交通費等の実費
  • トリミングによってケガをしたという証明(獣医師に診断を受けたなど)
  • サロン側の対応に対する感情
まずは、治療費・慰謝料を請求する根拠を明示します。

どのような過程でケガをして、将来的にどのような治療が必要なのか。

発生した治療費実費等の内訳等も、併せて明記しましょう。

そしてトリミングが原因のケガである根拠は、一般的に獣医師の診断書にて証明します。

内容証明郵便には添付書類をつけられませんので、別途コピーを送付する旨も記載します。

そしてハサミ等による外傷とは異なり、落下等の内傷は証明が難しくなります。

また、ケガの完治後は証明も難しくなるため、事前に写真で撮影しておくと良いでしょう。


~ ご注意! ~

治療費請求に関する内容証明郵便では、時に感情的に書きたくなります。

ただし、最終的に和解を求めるのであれば、具体的な損害金を中心に請求すべきです。
感情的な衝突が生じると論点がずれやすく、より複雑な問題に発展しかねません。


ではここで、内容証明郵便の記載内容に戻りましょう。

次は後半部分に「具体的な請求内容」を明記します。

  • 治療費・慰謝料などの請求金額
  • 支払期日・振込先
  • 実費を証明する領収書は後日送付する旨
  • 請求の法的根拠(前述の民法などによる請求根拠)
  • 請求に応じられない場合の意思
  • 応じられた場合は和解をする意思がある旨
この「具体的な請求内容」では、ケガの治療費の実費と請求する慰謝料を記載し、あわせて正当な請求であることを示すために、前述の法的根拠を明記します。

また治療費の請求に関しても実費 のみであることを印象づけるため、後日領収書のコピーを送りする旨を記載すると効果的です。

そして最も大切なのが、 請求に応じられた場合の和解の意思表示です。

その内容こそサロン側が応じたくなる内容であり、 内容証明における請求効果の一つです。

この様に、ペットサロンに対するケガの治療費・慰謝料等を請求するには、「法的な請求根拠」「相手が応じられる内容」「相手が応じる理由」これらの配慮が必要です。

サロン側が感情的にも物理的にも応じやすい、より簡潔な請求文面を目指しましょう。


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