そしてその時、相手方が形式的に事態を治めようとする場合があります。
ここでは納得できないペットトラブルの対応について、詳しくご説明します。
この記事が、より迅速なトラブル解決に繋がれば幸いです。
頻繁に見られる不誠実な事例
ペットトラブルで頻繁に見られる不誠実な対応には、以下の種類があります。
- ペットショップに治療費を請求したが支払われない
- ペットカフェで店の犬に噛まれたが、過失を認めない
- ボランティア団体に愛猫を保護されたが、返還されない
- ドックサロンで愛犬がケガをしたが、愛犬の過失であると言い張られた
必ずしも誠実に対応することがその事業・団体を守る行動ではない、と判断しているケースもあるでしょう。
それは利益と損害賠償との兼ね合いから来る思想であり、決して違法な部分とは言い切れません。
従業員やお店を守るために遵守すべき、お店の思想に基づいた対処だと考えているケースです。
そしてペットトラブルで相手方から誠実な対応を受けるためには、これら相手方の考え方を知る必要があります。
そして相手方に「応じたほうが良い」「応じなければ問題が長期化する」と受け取られることが大切です。
不誠実な対応に隠れる思惑
まず前項の不誠実な対応の理由を考えてみましょう。
なぜ不誠実な対応を見せるのかを理解することにより、請求方法も大きく変わります。
性格的な側面もあるでしょうが、多くの場合は以下の点が考えられます。
事業を運営する上での考え
- まず強く請求されるまで、責任はないと主張するスタンスでいる
- 事業保険に加入しているため、そこから全て賄いたい
- 治療費など上限が見えない請求に、個体価格を超えて支払えない
- 本当に責任がないと想定している
これらは事業を守るための発想に基づきます。これらは全て事業者として必要なアクションでもあり、法的にも違法でない場合が多く見られます。
そのため請求に対しても完全に受け入れないのではなく、一部を受け入れるなどの対応を見せますが、それは必ずしもペットトラブルの相手(特に飼い主様)を満足させるものではないでしょう。
そして契約書や利用規約などに治療費などの支払い上限が記載されている場合、その金額を上回る請求は難しいでしょう。
その他の理由
- 過剰請求を行うクレーマーの可能性を考えている
- 過去に同様の対応をしているため、対応を変えられない
- フランチャイズ店の場合、個人店のような親身な対応がしづらい
このようにペットトラブルでは、誠実な対応をしないのではなく、対応ができない理由を抱えている場合もあります。
どうしても相手方の不誠実な対応に対して「性格的な側面」と判断してしまいがちですが、実際にはこれら理由によるところも多く見られます。
次項ではこれらを考慮した、効果的な主張方法をご説明します。
効果的な主張方法と注意点
相手方の考え方に合わせて請求を行い「応じざるを得ない」「応じたほうが良い」と思われることが大切です。
初期段階では、以下の種類があります。
- 強気に全ての請求を行い、応じられない場合には法的手段を取る旨を伝える
- 治療費などの請求を期間や価額で区切り、一部だけ請求する
- 金銭の請求ではなく、謝罪を中心とした請求を行う
- 金銭の請求だけでなく、飼育方法の改善などを求める
まずは、それぞれの請求のメリットとデメリットを確認しましょう。
強気に全ての請求を行い、応じられない場合には法的手段を取る旨を伝える
「弁護士・裁判等の手段を検討する」という強い一文を加え、一気に請求に応じてもらう請求です。
ただこの場合、相手方から減額や支払期限の延長などを求められる場合があり、その話し合いが緩慢になると請求の圧迫感が薄れてきます。
相手側と直にお話しするのを避けて弁護士の先生にお願いするか、請求に応じられるまで不用意な接触を避けることが効果的です。
治療費などの請求を期間や価額で区切り、一部だけ請求する
「今後かかる治療費の全てを請求します」と言われた場合、最大で数百万もの損失の可能性があり、なかなか応じることが難しくなります。
そしてペットサービス業者は、経験上その費用がどのくらい事業者にとって危険なものなのかをご存じです。
勿論、一部の請求でこちらが負担しなければならない金額も発生しますので、実際はこの選択は難しいかもしれません。
金銭の請求ではなく、謝罪を中心とした請求を行う
この場合、内容証明郵便などの請求文章の中に「正式な謝罪を求める旨」を記載します。
これは相手方が危惧する金銭的な請求ではないため、比較的応じられやすい側面を持ちます。
ただ、実際には一切の金銭請求を行わないわけにもいかない場合が多く、極力抑えた請求を同時に行うと効果的です。
金銭の請求だけでなく、飼育方法の改善などを求める
相手方に飼育方法が不適切であったためのトラブルである旨を効果的に伝えることができ、結果的に謝罪も求められます。
「今後、同じようなトラブルで他の方が悲しまないように」など、様々な感情的な表現を組み合わせることができるでしょう。
ペットトラブルでは、請求に応じない・連絡が取れない場合も多く、消費者センターから事業に連絡をしても返答がない場合も少なくありません。
そのため繰り返し同様の請求を行った場合、請求の印象が薄れてしまう点にも注意しましょう。一度の請求で相手に応じられるような、分かりやすく受け入れやすい請求が求められます。
相手方の対応からいずれの請求方法が最も効果的か、じっくりとご検討ください。