その時に愛犬が人に噛みついてしまったら、誰に責任があるのでしょうか。
ここでは愛犬の散歩を人に任せた時の噛みつき事故について、詳しくご説明します。
この記事が、より良いペットライフにつながれば幸いです。
「占有者」「占有補助者」「保管者」3つの性質
まず愛犬の噛みつき事故では、民法に以下の規定があります。
民法718条 動物の占有者等の責任
1.動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
2.占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。
そしてこの時、それぞれが犬の噛みつきに対する責任を免れるためには、以下を自身で立証しなければなりません。
これらは共に立証が非常に難しく、過去の判例でも責任を免れたケースは非常に稀です。
保管者の選任・監督したことに対して相当の注意を払っていたこと | |
預かったペットを相当の注意を払って管理していたこと |
占有者のご家族や雇用者は、この占有補助者に該当すると考えられます。
ただし、占有者のご家族が必ずしも占有補助者と見なされ、噛みつきの責任を免れているわけではありません。以下の判例をご覧ください。
判例による占有補助者かどうかの判断
ご家族が占有補助者と見なされるかという点で、過去には2種類の判例があります。
家族が占有補助者として認められたケース
~判例~飼い犬の登録名義人である夫が占有者であり、噛みついた犬を散歩していた妻は占有補助者に過ぎないと認定され、その責任が否定された。
※横浜地方裁判所 昭和33年5月20日
家族が占有者として認められたケース
~判例~「一般の居住空間では、ペットの占有と管理は各自が責任を持ってするものであり、同居家族全員の生活の問題である」として、飼い犬の登録名義人である長男と同居する母親も、占有者として認められた。
※名古屋地方裁判所 平成14年9月11日
より直近の判例では、ご家族の方も占有者として飼い犬が他人に加えた損害を賠償する責任がある、とされています。
これらの判例によると、飼い犬の飼育状況によって判断される部分が大きく、占有者のご家族が必ずその責任を免れるとは言い難いでしょう。
被害者からの損害請求の対応方法
その場合、噛まれた方(被害者)は占有者と保管者のいずれに対しても被害の全額を請求でき、一方が被害者から全額を請求された場合、もう一方の方に過失割合に応じた請求が可能です。
特にご友人や知人が懇意で散歩をしてくれた場合などは、その方の過失割合を負担するなど、柔軟な話し合いが必要です。