愛犬の購入・譲渡時、契約書に記載するべき事項にワクチン接種があります。
では具体的に、書類にはどのように記載例されているのでしょうか。
ここでは犬の譲渡書類に記載するべきワクチン接種条項について、詳しくご説明します。
この記事が、皆様のお役に立てば幸いです。
子犬が持つ抗体と消滅期間
まず子犬には「移行抗体」が備わっています。この移行抗体とは、子犬が母犬の初乳を飲むことで、母親から受け取る抗体です。
子犬自身の免疫機構が発達し、抗原から自分自身の力で抗体を作り出せるようになるまで、子犬は母親から受け取った移行抗体で自分自身を守ります。 この移行抗体は一定期間(生後42日~150日程度)で消失すると言われており、この期間内に子犬は成長していきます。
この移行抗体の有効期間は、母犬の保有している抗体の量や、子犬・子猫の飲む初乳の量によって適宜変化します。 母犬の母乳を貰っていない子犬の場合、生後早急にワクチン接種をする必要があります。
ただし、この移行抗体がある期間内にワクチン接種を行った場合には、移行抗体によりワクチンの効果が生成されないため、第1回ワクチン接種のタイミングは、最初の移行抗体が無くなったと考えられる生後約1カ月後以降だとされています。
しかし、移行抗体が子犬に約20%以上残っている場合には、この第一回目のワクチン接種の効果がありませんので、念のために第二回目のワクチンを生後約90日後に打つことが一般的です。
そして更に移行抗体は生後42日~150日で移行抗体が消滅とされるため、第二回目のワクチンに関しても有効でない可能性があります。
これらの理由から、生後120日前後に第三回目のワクチン接種を行う事が一般的です。
契約書に記載すべきワクチン接種条項
契約書・譲渡書には、これらのワクチンの接種に関する条項を設定します。
ペットの販売店や里親が記載する条項には差がありますが、少なくとも以下の事項には配慮すべきでしょう。
以下が具体的な記載例です。
- 母親から母乳を貰っていない場合には、早急なワクチン接種を実施する旨
- 子犬・子猫が生後何日かを考慮した、三回のワクチン接種予定時期
- 初回ワクチン接種を行っている場合は、ワクチン接種証明書の配布時期
- ワクチン接種に関する費用負担
- ワクチン接種の病院の指定
これらワクチン接種は、その後の感染症などに直結する重要事項です。
子犬・子猫のワクチン接種時期が不明の場合、感染症による死亡事故にも繋がります。