最初にその管理遵守・義務の全体を学ぶことは、より安全な業務に繋がるでしょう。
ここではペットシッターでの動物の取扱いについて、専門行政書士が丁寧にご説明します。
この記事が、より安全な事業の運営につながれば幸いです!
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ペットシッターが守るべき事項
これらは法的な義務と、安全な事業運営のために求められる義務です。
これらを大きく分けると、以下の種類に分類できます。
- (1) 開業までの遵守事項
- (2) 開業後の遵守事項
これには「動物取扱責任者資格の取得」「設備要件のクリア」「第一種動物取扱業の登録」などの行程があります。
この段階では経験値の差はあまり問題視されず、時間と費用をかければシッターの開業に辿り着けるでしょう。
ペットシッターの開業後、運営者は以下の事項を遵守しなければなりません。
- 年に一度の動物取扱責任者の研修
- 事業内容の変更に伴う事前届出
- 事業内容の変更に伴う30日以内の届出
- 登録証の紛失などの届出
- 廃業に対する届出
- 登録証の紛失などの届出
- 第一種動物取扱業の5年毎の更新
- 第一種動物取扱業者の遵守事項
そして最後の第一種動物取扱業者の遵守事項には、「飼養施設の要件」と「ペットの取扱要件」が含まれます。
今回の主題であるペットの安全な取扱いは、この「ペットの取扱要件」に基本的な事項が定められています。
では早速、その細かな内容を見てみましょう。
ペットの取扱いに関する義務・遵守事項
その理由は、様々な性格を持ったペットに一律でルールを定めることが難しいためです。
そのため私たちは、これらの義務・遵守事項を基本として、より安全な取り扱い方法を模索し続けなければなりません。
では第一種動物取扱業に求められる各種の義務・遵守事項を、見てみましょう。
動物の飼養・保管方法の遵守事項
- 飼養・保管をする動物の数と種類は、飼養施設の構造や規模と管理する職員数のバランスを考えること
- ゲージ等の外で飼養・保管をしないこと。ただし管理を徹底した上で、一時的にゲージ等の外で飼養・保管をする場合は、許される
- ゲージ等で管理する動物の種類と数は、その構造と規模に合わせること
- 違う種類の動物や複数の動物を入れる場合、ケージ等の構造や規模、動物の組み合わせ、ゲージの配置などを考慮して、できるだけ動物同士が争わないようにすること
- 幼い犬・猫などの社会化が必要な動物は、適切な期間をその親や兄弟姉妹などと一緒に保管・飼養すること
- 動物の生理・生態・習性等に適した温度・明るさ・換気・湿度等が確保され、騒音も防止されるように飼養環境を管理すること
- 動物の種類、数、発育状況、健康状態及び使用環境に応じて餌の種類を選び、適切な量・回数の給餌・給水を行うこと
- 走る・登る・泳ぐ・飛ぶ等の運動が難しいゲージの場合、飼養・管理する動物に対して適宜運動時間を設けること
- 一日一回以上飼養環境を巡回し、動物の数・状況を確認し、巡回の実施状況は台帳に記録して5年間保管すること
- 動物の死体は、速やか且つ適切に処理すること
- 動物の鳴き声・臭気・毛などや、ねずみ・ハエ・蚊・ノミ・その他の衛生動物等により、周辺の生活環境を著しく損なわないように配慮すること。特に飼養施設が住宅地に立地している場合、長時間・深夜の鳴き声などが他の生活環境に影響しないように配慮すること
- 動物の逸走に備えて捕獲体制を整備し、個体識別を実施するなどの措置を講じること
- 動物観における感染症の疾病のまん延と闘争発生を防止するため、親・子・同腹子等とともに飼養・保管することが妥当であると認めらえる場合を除いて、お預かりした動物は個別に収容すること
- (訓練を取得した場合)動物に訓練をするなどの場合は、動物の生理・生態・習性等に配慮して、訓練などが過酷にならないようにすること
※一部要約
これらは何をもって適切とするのか判断しづらい面があります。
そのため不安を感じたら、すぐに動物愛護センターに確認する習慣をつけましょう。
次に、飼養・管理する動物の病気等に関する遵守基準です。
動物の疾病等に係る措置の遵守基準
- 新しい動物を飼養施設にいれる場合、その動物の健康状態を目視で確認することや、契約の相手等(飼い主様など)からその動物の健康状態をヒアリングすること。その間、必要に応じて他の動物と接触させないこと
- 飼養・保管する動物の疾病・障害・寄生虫の寄生を予防、駆除するなどの毎日の健康管理を行うこと
- 疾病予防等を目的として、必要に応じてワクチン接種を行うこと
- 動物が疾病にかかったり傷害を負った場合、速やかに必要な処置を施し、必要に応じて獣医師による診療を受けさせること
- ねずみ・はえ・蚊・のみ・その他の衛生動物により動物が健康被害を受けないように、その発生と侵入防止や駆除をおこなうこと
※一部要約
ここにさらに「犬種・猫種」「年齢・サイズ」「性格・ヒート」等を加味します。
そのため健康状態やワクチン接種の確認など、実業務の関連事項を徹底してご配慮ください。
次に、動物の輸送に関する遵守基準です。
動物の輸送に関する遵守基準
- 輸送設備は確実に固定するなどの方法を選び、衝撃による転倒を防止すること
- 輸送中は常に、動物の様子を目視(監視カメラなどでもOK)で確認できるように必要な設備を備え、必要な体制(逸走防止など)も確保すること。ただ、航空輸送中に関してはこの限りではない
- 輸送動物の種類と数は、輸送設備の構造・規模・輸送人数などに適したものにすること
- 輸送設備は、その動物が立ち上がる・横たわる・羽ばたくなどの日常動作を簡単に行える広さと空間が必要である。ただし、動物の健康と安全を守るために特別の事情がある場合は、その限りではない
- 輸送設備は、定期的な清掃と消毒で、常に安全を保っておくこと
- 必要に応じて空調設備を整え、動物の生理・生態等に適した温度・明るさ・換気・湿度などを確保すること。ただし、動物の健康と安全を守るために特別の事情がある場合は、その限りではない
- 動物の種類・数・発育状況・健康状態に応じて餌の種類を選択し、適切な量と回数の給餌と給水を行うこと。ただし、動物の健康と安全を守るために特別の事情がある場合は、その限りではない
- 動物の疲労・苦痛を軽減するために、輸送時間は可能な限り短くする。輸送中は必要に応じて休息又は運動のための時間を確保すること
- 衛生管理・事故・逸走防止・周辺の生活環境保全のために、必要な措置を講じること
※一部要約
ドックランや遠方の公園への輸送など、比較的関連性の高い事項ばかりです。
初回輸送時には、輸送手段(車など)と輸送動物のサイズを比較し、該当項目を一つづつ改善すると良いでしょう。
では最後に、動物の生命に関する基準です。
その他動物の管理の遵守基準
- 第一種動物取扱業の廃業などに伴って、飼養・保管の継続が困難な動物が生じた場合、譲渡などの方法で、彼らに生命の機会を与えるよう努めること
- 疾病の回復の見込みがない場合などやむを得ず動物を殺処分しなければならない場合は、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によること
※この項目は地域により異なり、特に確認が必要
- 動物の飼養又は保管をする場合には、災害時の動物の健康及び安全確保、人命・身体・財産に対する侵害を予防するため、常日頃から職員間の連絡体制及び動物の逸走時の捕獲体制の整備、動物の避難方法の確立。餌の備蓄を行うこと
※一部要約
これらの基準の多くは数値化されておらず、お店によって安全配慮に差があるのも現状です。
それには、以下の理由が挙げられます。
- 動物の取扱方法は、飼い主様が最も知りたい情報である
- 利用規約に練りこみやすく、お店の魅力として伝えやすい
第一種動物取扱業をお取りになられている事業者様は、勿論そうお考えでしょう。
そして愛犬・愛猫達がどのように取り扱われるのか、ご心配されています。
そのため利用規約やHPなどに、遵守基準に対する取り組みを記載すると良いでしょう。
それは満足度だけでなく、シッター事業の安全性・安定性にも直結します。
詳細情報に関しては、必ず開業地域の動物愛護センター様などにご確認下さい。
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