個人ペットシッター開業の詳細手順と運営書類の準備方法
信頼されるペットシッターになろう!

そしてペットシッターの開業手続きと運営書類には、様々な種類があります。

ここでは個人ペットシッターの開業手続きと運営書類について、専門行政書士が丁寧にご説明します。

どこよりも安全な運営書類を元に、沢山の方に愛されるペットシッターをご開業ください!

この記事が、素晴らしいペットシッターの開業につながれば幸いです。

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ペットシッター開業に必要な資格と経験

ペットシッター開業に必要な資格と経験

ではまずは最初に、ペットシッターの開業に必要な資格と経験を見てみましょう。

動物の命を扱うペットシッター、その開業には「第一種動物取扱業」の登録が必要です。
(※動物愛護管理法)

またこの記事では、多くの都道府県に共通した登録要件をご説明しております。

地域によって若干相違点がありますので、各都道府県の保険福祉部等に所属する動物愛護センター等にて、各都道府県での申請要件をご確認いただきますと確実です。

多くの自治体では登録申請書がPDF形式で用意されておりますので、本記事と並行してご覧いただければ幸いです。

では、第一種取扱業の登録申請のお話に戻りましょう。

まずドックシッター・キャットシッターの開業には、第一種動物取扱業における「保管」が必要となり、サービスの一環で躾(しつけ)やトレーニングなどの出張訓練業を行う場合には、同時に「訓練」での申請が必要です。

さらに第一種動物取扱業の登録要件には、適切な施設条件と共に「動物取扱責任者の選任」の要件があります。

つまりシッター開業における実質的な要件には「動物取扱責任者になる」ことが挙げられ、その動物取扱責任者になるには「実務経験」もしくは「特定の資格」のいずれかが必要です。

ではまずは、この第一種動物取扱業の登録に必要な申請書類を見てみましょう。

本来12種類の書類が必要なのですが、ここではシッター開業に必要な「保管」「訓練※躾・トレーニングを提供する場合」に必要な書類のみを見てみましょう。

第一種動物取扱業(保管・訓練)に必要な申請書類

必要書類
備考
第一種動物取扱業登録申請書 事務所毎・種別ごとに登録が必要であり、事務所が二か所で2種別の場合には、計4登録が必要となる
登記事項証明書 法人の場合のみ必要
欠格次項に関する書類 申請者と動物取扱責任者に、登録できない条件があるかを確認する書類
役員の氏名及び住所を記した書類 法人の場合のみ必要
飼養施設の平面図 飼養設備を設置する場合に提出
店内を上から見下ろした構図で描き、飼養施設に求められる施設をすべて配置していることを証明する。多くの場合パソコンで作成した構図を、プリントアウトする
飼養施設の付近の見取り図 飼養設備を設置する場合に提出
お店付近の建物(道路や学校など)を見下ろした構図で描き、近隣の環境を明示する。手書きで書かれる場合も多く、比較的ラフなものでも認められやすい
動物取扱責任者に関する書類 【1】認定研修証明書or実務経験証明書
【2】学歴証明書
【3】資格証明書
※これらのいずれか
事務所以外の場所で重要事項の説明等をする職員の要件を証明する書類 上記【1】【2】【3】で認定研修証明書以外
※動物取扱責任者が兼任する場合、省略可能
事務所ごとに配置される重要事項の説明等をする職員の要件を証明する書類 上記【1】【2】【3】で認定研修証明書以外
※動物取扱責任者が兼任する場合、省略可能
まずこれらの申請書の多くは、数日から数週間でご用意いただけるでしょう。

ただし「動物取扱責任者に関する書類」に関しては、早めに動かなければなりません。

ただ事前に【1】【2】【3】のいずれかの書類を用意できているならば、問題ありません。大変なのは、完全に新規の状態でこれらの書類をご用意される場合です。

ではここで、それぞれの書類の取得要件を見てみましょう。

実務・研修経験で動物取扱責任者になる

まずは、動物に関連する実務経験を使って登録する方法です。

その結果取得できるのが、前述の「認定研修証明書」「実務経験証明書」です。

これは名前の通り「関連する仕事経験」と「学校での研修経験」に分かれます。

関連する仕事の経験

まずはシッター開業に関連がある、仕事の実務経験を見てみましょう。

これは開業する第一種動物取扱業と同じ種別で、半年以上の実務経験を行う方法です。

開業したい業種
実務経験として認められる業種
飼養設備ありの保管業 販売・保管・訓練(各飼養設備有り)貸出し・展示・譲受飼養
飼養設備なしの保管業 販売・保管・貸出し・訓練・展示
飼養設備ありの訓練業 訓練(飼養設備有り)
飼養設備なしの訓練業 訓練(使用設備があっても無くても良い)
この様に、飼育施設付きのシッターを開業したい場合、実務経験でも飼養設備があることが多く求められています。

販売・保管・訓練の経験を使う場合、仕事先に飼養設備があれば飼養設備を設けられます。

ただし、貸出・展示・譲受飼養の場合は、実務経験において飼養設備が求められないケースが多く見られます。

また上記の関連種別以外でも実務経験として認められる場合があり、お住まいの自治体に確認すると良いでしょう。

思いがけずお仕事の関連性が認められる場合もあり、仕事探しのヒントにもなります。

学校による研修経験

次に特定の学校で知識と技術を学び、その研修経験を使って登録する方法です。

これは「営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術について、1年間以上教育する学校その他の教育機関を卒業していること」と明記されており、具体的には以下の学校を卒業していれば良いとされています。

  • 高等学校(畜産学専攻、動物の生理生態教育学科)
  • 大学(正規過程の獣医学科・畜産学科、動物の生理生態教育学科)
  • 高等学校(畜産学専攻、動物の生理生態教育学科)
  • 短期大学(動物看護専攻学科、動物の生理生態教育学科)
  • 専修学校(動物の生理生態教育学科)
  • その他の学校(1年以上の履修期間がある動物の生理生態教育学科)

資格を使って動物取扱責任者になる

次に、特定の資格を取得して動物取扱責任者になる方法です。

かなりの種類がありますので、どの資格を取りやすいのかを考慮する必要があります。

資格名
資格発行団体名
可能種別
愛玩動物飼養管理士(1級・2級) 公益社団法人日本愛玩動物協会 保管・訓練
愛犬飼育管理士 社団法人ジャパンケネルクラブ 保管・訓練
愛護動物取扱管理士 社団法人新潟県動物愛護協会 保管・訓練
家庭犬訓練士(初級.中級.上級.教師) 一般社団法人全日本動物専門教育協会 保管・訓練
家庭動物管理士 一般社団法人全国ペット協会 保管
競技別指導者資格馬術コーチ 財団法人日本体育協会 保管・訓練
競技別指導者資格馬術指導員 財団法人日本体育協会 保管・訓練
競技別指導者資格馬術上級コーチ 財団法人日本体育協会 保管・訓練
公認訓練士 社団法人ジャパンケネルクラブ
社団法人日本警察犬協会
保管・訓練
公認馬術指導者資格コーチ 財団法人日本体育協会 保管・訓練
公認馬術指導者資格指導者 財団法人日本体育協会 保管・訓練
実験動物技術者(2級) 社団法人日本実験動物協会 保管
小動物飼養販売管理士 協同組合ペット・サービスグループ(PSG) 保管・訓練
乗馬指導者資格(初級) 社団法人全国乗馬倶楽部振興協会 保管
乗馬指導者資格(中級) 社団法人全国乗馬倶楽部振興協会 保管・訓練
地方競馬教養センター騎手過程修了者 地方共同法人 地方競馬全国協会 保管・訓練
調教師 地方共同法人 地方競馬全国協会 保管・訓練
動物介在福祉士(初級.中級.上級.教師) 一般社団法人全日本動物専門教育協会 保管・訓練
動物看護師(初級.中級.上級.教師) 一般社団法人全日本動物専門教育協会 保管・訓練
動物看護士(3級) 公益社団法人日本動物病院福祉協会 保管・訓練
動物取扱士(3級) NPO 法人九州鳥獣保護協会 保管・訓練
トリマー(初級、中級、上級、教師) 一般社団法人全日本動物専門教育協会 保管・訓練
認定ペットシッター ビジネス教育連盟ペットシッタースクール 保管・訓練
ペットシッター士
※平成21年4月1日以降取得のみ
NPO 法人日本ペットシッター協会 保管・訓練
GCT(Good Citizen Test) 優良家庭犬普及協会 保管・訓練
JAHA 認定家庭犬しつけインストラクター 公益社団法人日本動物病院福祉協会 保管・訓練

参照:東京都福祉保健局

ご覧の様にあまりに種類が多いため、どれを取得するべきかお悩みになるでしょう。

そこで、我々が個人的にお勧めしたい資格は、「愛玩動物飼養管理士」です。

数ある資格の中からこの資格をお勧めするには、以下の理由があります。

愛玩動物飼養管理士を薦める理由

  • 更新費用がなく、長期的に見て時間と費用を節約できる
  • 2級で動物取扱責任者に申請でき、難易度も8割程度が合格できる
  • 模擬試験と実試験内容がかなり似通っているため、対策が講じやすい
  • スクーリングも1日で済み、自宅学習がやりやすい
  • じっくりと学習できるため、体感的にトラブル数が少ない
ご覧の様に「取得の容易さ」と「取得後の簡便さ」そして「知識を生かしやすい」点がメリットとして挙げられます。

これは人員と初期費用が不足しがちな個人シッター様には、大きな長所です。

ただ反面、3万円程度の初期費用が必要な点と、試験が年1回しかない短所も存在します。

しかしそれらの短所を加味しても、長期的なメリットの多い資格です。

2級取得後は1級の資格を取得すると、地域のお客様からもより信頼感を得られやすくなるでしょう。

事務所・施設に関する設置基準

では次に事務所・飼養施設の基準を確認しましょう。

この事務所と飼養施設の準備は、資格取得と同じ時期に始めることをお勧めします。

その理由としては、以下の点が挙げられます。

  • 資格取得の学習時から、運営施設のイメージが湧く
  • 時間に余裕があるため、事前に売上目標と売上予測を比較しやすい
  • 開業直前で焦ることがなくなる
上記は開業に関する「コツ」ですが、非常に大切な要素ばかりです。

資格試験の段階から運営方法も悩み、開業時にはより効率の良い運営を目指しましょう。

シッター開業の事務所要件・施設要件に関しては、同じ第一種動物取扱業の「保管」に該当するペットホテルの開業手続きの記事をご参照ください。

参照:個人ペットホテル開業の詳細手順と運営書類の準備方法


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第一種動物取扱業の登録申請の流れ

まずはここまでお読みいただき、有難うございます。

前述の動物取扱責任者に就任したら、次は第一種動物取扱業の登録を行いましょう。

この第一種動物取扱業の登録申請の費用は、以下の通りです。

第一種動物取扱業の登録申請費用
申請登録1つ当たり
※事務所毎・種別ごとに登録が必要
15,000円
同一事務所における複数申請 2種別以降、一登録12,000円
これは都道府県により若干の差がありますが、複数申請における割引が多く見られます。

この登録申請費用をご用意いただき、次は以下の手順で申請を行いましょう。

(1) 前述の申請書類一式をご用意いただく

(2) 申請窓口である、都道府県の動物愛護センターに申請する
※名称が「保健所」の場合もあり

(3) 書類審査および事業者の立ち入り検査
※申請時に指定した日時で、事業所の立ち入り検査が行われる

(4) 問題がなければ事業登録され、「第一種動物取扱業者登録簿」に記載される
※一般公開され、誰でも閲覧可能

ここまでが登録申請の流れです。

そして登録完了後は、晴れて「第一種動物取扱業登録証」が交付されます。

またこの登録証は、以下の法律に基づ事業所へのく掲示義務があります。

動物の愛護及び管理に関する法律

第十八条の標識の掲示は、次に掲げる事項を記載した標識を、事業所における顧客の出入口から見やすい位置に掲示する方法により行うものとする。
※一部簡便な表記に変更

1 第一種動物取扱業者の氏名(法人にあっては名称)
2 事業所の名称及び所在地
3 登録に係る第一種動物取扱業の種別
4 登録番号
5 登録の年月日及び有効期間の末日
6 動物取扱責任者の氏名

参照:第一種動物取扱業の遵守事項

登録証が発行されたら、3~5に関する情報を事業所とWEBページに掲載しておきましょう。

お客様にご安心いただくと同時に、5年ごとの更新日を忘れることも少なくなります。

用意しておくべき運営書類

そしてシッターの開業後は、運営に必要な書類があります。

それらは「販売促進」「安全運営」「契約書類」などに分類され、WEBページに記載する情報もあります。

最後にこれらの書類について、詳しくご説明します。

販売促進書類・WEBページ

まずシッターの開業後は、当然ながらお客様を獲得しなければなりません。

口コミや人脈などのネットワークも有効ですが、安定した新規顧客様を獲得するためには、具体的な販売促進が必要です。

その販売促進に適しているのが、以下のものです。

  • (1) サービスの概要を記載した、お店のパンフレット
  • (2) 新規割引やご招待割引を付けた、名刺やチラシ
  • (3) WEB検索で引っかかるためのWEBページ
  • (4) SNS上でお店の情報を拡散するための、お役立ち記事
特に(3)(4)のWEBページは、グーグルなどの広告料を必要としない集客に効果的です。

ご自身のサービスへの集客力の高いページを用意できれば、安定した運営にも繋がります。

これにはグーグル等の検索エンジン最適化などの、効率的なアクセス増加のための施策が必要です。

WEBページの運営方法をここでご説明しきるのは大変難しいため、下記のWEBコラムなどを拝見いただければ幸いです。

参照:ペットサービス売り上げ倍増化コラム『WEB基礎!』

運営に必要な書類

次に、お客様との契約条件などを明記した運営書類をご整備ください。

これらの書類が未整備の場合、最悪、民事訴訟等に発展するトラブルも見られます。

また民事訴訟を回避できたとしても、高額な賠償責任を追及される恐れがあります。

それらを回避するためにご用意いただきたいのは、以下の書類等です。

  • お店の利用条件、免責事項等を定めた利用規約
  • お客様と締結する申込契約書
  • 個別のケア方法を取り決める、お客様カルテ
  • お客様情報をお預かりする上での、個人情報取り扱いに関する取り決め
  • WEBなどで特定の売買を行う上での特定商取引法に基づく表記
ただし、これらの書類は非常に簡便な仕上がりが多く見られます。

トラブルのご相談の多くは、これらの書類不備もしくは書類不足を理由としています。

可能ならば事前に安全な運営書類をご整備され、近隣住民からのご評判を維持しましょう。

ペットシッターにおいて一度発生した風評は、意外なほど早く広まります。

これらの書類の書き方に関しては、以下のページにまとめてございます。

お時間のある際にでも、ご覧いただければ幸いです。

参照:ペットサービスの開業・運営に関する記事